鳥類の羽毛、飛翔能力より先に進化?

2014.07.03
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始祖鳥(学名:Archaeopteryx)の化石に羽毛の痕跡が残る。

Photograph by Helmut Tischlinger
 ジュラ紀に生きた飛べない鳥、始祖鳥(学名:Archaeopteryx)の化石が見事な保存状態で新たに発見された。飛翔能力を発揮するかなり前から羽毛が進化していたという学説にさらなる証拠が提供された。「Nature」誌に7月2日付で掲載された論文によると、およそ1億5000万年前の地層から新たに発見されたその化石は、頭部から脚部にいたるまで長い羽に覆われていた。以前見つかった化石は、翼と尾の部分にだけ羽の痕跡があった。

 大羽と呼ばれる長い羽は、現生鳥類の飛翔に使われ、長い羽軸を有するもので、保温機能のある羽毛とは性質が異なる。

 研究の上級著者で、ミュンヘンにあるドイツ・バイエルン州立古生物学・地質学博物館に務めるオリバー・ラウハット(Oliver Rauhut)氏は、「われわれが唯一確信を持って言えることは、長い間信じられてきたように、羽は飛翔を第一の目的として進化しなかったということだ」と述べている。

◆初期の鳥類

 ワタリガラスほどの大きさの始祖鳥の化石は、1861年にドイツの石灰岩採石場で初めて発見された。これまでにわずか11の化石標本が見つかっているだけで、今回の化石も同じ採掘場から出土した。

 二本脚の獣脚類(ティラノサウルス・レックスと同じ系統)に属す恐竜の多くは、羽毛を有していたことが分かっている。現在、研究者らの争点は、鳥がどのように飛翔を始めたかに集まっている。大羽が飛べない始祖鳥の体を覆っていたことから、鳥類が地上に近い所から進化したという仮説に新たな証拠が加えられた。

 羽毛は、まるでズボンのように始祖鳥の脚部を覆っていた。翼に生えた羽毛は、既に見つかっている始祖鳥の化石に比べると、若干短かった。つまり、始祖鳥が飛べなかったという見方はより確実なものとなった。

◆謎を解き明かす羽毛

 ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館の古生物学者で、羽毛恐竜の化石を調査してきたマーク・ノレル(Mark Norell)氏によると、長い羽は、羽毛恐竜に見られるようにまず保温を目的として進化した。その後、羽は様々な役割を果たすようになったと考えられる。

 また研究の著者らは、初期の鳥類が大羽を求愛のディスプレー(誇示)に使ったと推測している。それはちょうど、クジャクのオスが尾羽を広げてメスを誘うのに似ている。

 大羽が進化を遂げた後、初期の羽毛恐竜はそれらを利用して最終的に飛ぶようになったとラウハット氏は説明する。

 本質的に研究チームは、初期の飛べない鳥が翼を羽ばたかせながら地上を素早く疾走して飛ぶようになり(ちょうど七面鳥が捕食者から逃げるように)、次の世代に引き継がれた“地上説”を支持している。木の上から滑空して飛翔を始めたとする“樹上説”とは反対の立場である。

 イギリス、ブリストル大学のジェイコブ・ヴィンサー(Jakob Vinther)氏は、少なくとも数種の初期鳥類が、羽に覆われた脚を使って空中を滑空したと考えている。

 また、北京にある中国科学院古脊柱動物学・古人類学研究所の古生物学者、周忠和(Zhou Zhonghe)氏も地上説に懐疑的で、「多くの場合、1つ以上の自然選択の力が合わさって羽毛の進化を促し、恐竜から鳥類へ移る過程で様々な羽の発達につながった」と電子メールで述べている。

Photograph by Helmut Tischlinger

文=Dan Vergano

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