世界が見守るアホウドリのヒナ、初飛行

2014.07.01
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生後1週間のヒナ、カロアクルアとそれを立って見守る父親。

PHOTOGRAPH BY HOB OSTERLUND
 6月24日、若いメスのコアホウドリ、カロアクルア(Kaloakulua)が初めて空を飛んだ。高さ76メートルの断崖に飛び込み、外洋へ向かった。今後3年間、同じ地に降り立つことはないだろう。 アホウドリの巣をカメラで追った史上初の野生動物ライブストリーミング配信は、こうして第一幕を閉じた。

 カメラはカロアクルアが孵化した1月27日、ハワイのカウアイ島北岸にコーネル大学鳥類学研究室の生物学者らによって設置された。その後はカウアイ・アルバトロス・ネットワークのボランティアで高解像度カメラのパンやズームを制御し、巣へアホウドリが出入りする様子を捉え続けた。

 バナナくらいの大きさだった孵化したての幼鳥の頃から、翼を広げると1.8メートル以上にもなる立派な大人のアホウドリに成長するまで、何百万人もの閲覧者がインターネット上でカロアクルアを見守ってきた。時にアホウドリの求愛ダンスに驚嘆し、捕食者の影に気を揉み、カロアクルアの両親が餌を捕るために海へ出た長い旅から帰るのを見ていた。

◆長い奇妙な旅

 アホウドリは鳥の世界でも変わった存在だ。ヒナが生後たった数週間の頃から、ヒナを置いて何日も巣を離れるからだ。両親は海へ向かい、餌を求めて途方もない距離を旅する。時にその旅は、日本やアラスカにまで及ぶこともある。

 巣へ戻ると、両親は部分的に消化された胃の内容物を、ヒナの開いた口に吐き戻す形で餌を与える。このように両親が長い距離を旅して餌を探さなければならなかったため、カロアクルアは2週間も食事を待たされることもあった。

◆カメラに捉えられた主な出来事

・生後1カ月でカロアクルアは、両親が民家の芝生の上に作った巣を出て外を歩き始めた。芝生から離れて、近くの場所に自分で新しい巣も作った。

・背後に野良ネコや野良イヌが潜む姿が何度も捉えられた。昔ハワイ諸島では地上に捕食者はいなかったため、アホウドリは生まれつき捕食者を恐れるように進化していない。現代では人間が住む島にはイヌ、ネコ、マングースが移入しているので、アホウドリの保護を考える際の深刻な問題となっている。カロアクルアは幸いにも、こういった外来種に傷つけられることはなかった。

・より歓迎できる訪問客もあった。コアホウドリは3歳になると自分が生まれた繁殖コロニーへ帰り始め、まず結婚相手を探す。カロアクルアの巣の近くにもこういった個体が現れ、カメラの前で素晴らしい求愛ダンスを見せてくれた。

・生後4カ月のとき、カロアクルアはプラスチックを吐いた。親が給餌の際、うっかり与えてしまったのだ。これも、アホウドリの保護活動において強調される重要な問題だ。海に漂流する様々なプラスチックごみで胃が満たされてしまうために、毎年数多くのヒナが餓死している。

・カロアクルアがそのリアリティー番組で最後の演技を見せたは、6月24日のことだった。生後5カ月のヒナはぶらぶらと断崖の縁までやってきて、自らの力で旅に出た。彼女がカウアイ島を飛び立つ瞬間は、コーネル大学のカメラには収められてないが、旅行客がそれを捉えていた。

◆すばらしい新世界

 ひとたび海へ出れば、カロアクルアが両親と会うことはもうないので、餌のとり方は自分で学ばなければならない。

 このプロジェクトに関わった生物学者とボランティアのメンバーは、3年後彼女がカウアイ島に再び帰還することを願っている。その一方で、来年別のアホウドリの巣を撮影することも計画している。

PHOTOGRAPH BY HOB OSTERLUND

文=Katie Langin

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