ホホジロザメ、米近海で個体数回復

2014.06.27
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米国近海内のホホジロザメ個体数は回復を見せている。

PHOTOGRAPH BY GREG SKOMAL
 アザラシにとっては気の毒な事態かもしれない。ホホジロザメの数が再び増加しているからだ。それどころか、新たに発表された2つの研究によると、サメを象徴するこの魚の生息状況は、米国東西両岸の沖合で予想を上回る回復を見せているという。 研究者は、心強い数字が出たのは連邦と州が1990年代に規制を設け、ホホジロザメとその餌となることが分かっている海洋哺乳類の多くを保護したためだとみている。これらの規制は、1970年代から1980年代に商業漁業や遊漁がホホジロザメを圧迫し、個体数減少に追い込んだことへの対応策だった。

 フロリダ州ゲインズビル、フロリダ自然博物館でフロリダ・サメ研究プログラムを主導するジョージ・バージェス(George Burgess)氏は、「珍しく朗報が入ってきている」と喜ぶ。「ホホジロザメの個体数は増えており、おそらく我々がこれまでの研究生活で見てきたよりも良い状況にある」。

◆きめ細かな調査

 こうした回復傾向は、米国海洋大気庁(NOAA)が主導した北大西洋のホホジロザメ個体数調査で収集された科学的データおよび目撃事例を総合して浮かび上がってきた。研究者たちは学術調査、商業漁業監視プログラム、愛好家によるサメ釣り大会、商業漁業者や遊漁者、そして1800年から2010年までに発行された新聞記事といった情報源から目撃例を集めて分析した。

 調査の末、東海岸沖に現在生息するホホジロザメの絶対数を算出することはできなかった。それでも研究者らは、1970年代と80年代に目撃情報が減少した後、90年代には再び数が増え始めたことを確認した。

 それ以来、ホホジロザメは着実に数を増やしている。

 米国西海岸でも状況は上向いている。2011年にカリフォルニア州中部の沖合で行われたホホジロザメの個体数調査で得られたデータを専門家が再評価し、この海域に生息するホホジロザメの成魚を約2400匹と推定した。しかも、おそらく「その数倍はいる」とバージェス氏はみている。

 前回の推計では、同じ海域のホホジロザメの個体数はわずか219匹だった。

◆まだ遠い最終目標

 朗報にもかかわらず、バージェス氏は楽観はしていない。一つには、東海岸のホホジロザメは、海洋哺乳類の回復ペースが速い西海岸沖ほどには数が戻っていないと考えられるからだ。

 バージェス氏は、「もちろん、東海岸では歴史的に、特にサメを目的とした遊漁が盛んだということもある」と話す。

 ホホジロザメの保護と個体数回復の取り組みは順調に進んでいるとはいえ、これは大規模な“動物保護の戦い”の戦場の一つに過ぎない。最終目標は「他のサメやエイにも同じ成果をもたらすこと」だと、バージェス氏は強調した。

 今回の研究成果は、米オンライン科学誌「PLOS ONE」にそれぞれ6月11日付、6月16日付で掲載された。

PHOTOGRAPH BY GREG SKOMAL

文=Jane J. Lee

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