ミノカサゴがチームで狩り、ヒレで合図

2014.06.26
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キューバのハルディネス・デ・ラ・レイナ国立自然公園の岩礁で泳ぐミノカサゴの一種、Pterois miles。

Photograph by Pete Oxford. Minden Pictures/Corbis
 ミノカサゴが鋭くとがった毒のあるヒレを使って複数で協力して狩りをする様子が、海洋生物学の研究チームによって初めて記録された。「協力して何かをするには高い認知能力が必要だが、これまで魚類は認知能力が極めて低いと考えられてきた」とオーストラリア、クイーンズランド州にあるジェームズクック大学の海洋生物学部の大学院生で、「Biology Letters」誌に掲載された研究論文の筆頭著者であるウーナ・ロンステッド(Oona Lonnstedt)氏は述べている。「だが、魚類の社会的行動を観察すると、考えていた以上に高度なものであることがわかる」。

 ミノカサゴとは、インド洋から太平洋にかけての海域で生息が確認されている複数のミノカサゴ属の魚の総称である。鮮やかな縞模様と毒のある背ビレを持ち、観賞魚としても人気がある。

 また優れた捕食者としても知られ、天敵はほとんど存在しない。泳ぎの遅さを補うために、ミノカサゴは特別な浮袋を利用して水中を自在に動きまわり、獲物を捕らえる。

 これまで、このような狩りは単独で行われると考えられていた。しかしロンステッド氏は、研究室と自然環境の両方で、数千時間にわたってミノカサゴを観察した。その結果、一部のミノカサゴが協力しあって餌となる魚を捕まえているらしいことに気づいたという。

「大きな群の中で、一部のミノカサゴが、まるで網を抱えた漁師のようにヒレを大きく動かしていた」とロンステッド氏は話す。「不思議な行動に、好奇心が掻き立てられた」。

◆これから狩りをするぞと、ヒレを振って合図

 ほどなくして、ある事実が明らかになった。ヒレをひらひらと動かす行為は、複数のミノカサゴが狩りを行う直前に行われていたのだ。ロンステッド氏は、このようなヒレ振りが狩りの成功率を上げるための協力行動の1つであるとの仮説を立てた。

 これを検証するために、ロンステッド氏率いるジェームズクック大学の研究チームは特別な水槽を用意し、その片方の端に餌となる魚を配置した。続いて水槽の中央部分にキリンミノカサゴ(学名:Dendrochirus zebra)を置き、水槽内を動きまわって餌の魚を見つけられるようにした。さらに、餌の魚と反対側の端に、ネッタイミノカサゴ(学名:Pterois antennata)という別の種類のミノカサゴを置いた。

 予想どおり、ロンステッド氏が自然環境で観察したのと同じ行動が水槽でも見られた。キリンミノカサゴはいったんネッタイミノカサゴに近づき、ヒレをひらひらと動かし、その後、餌の方へと泳いでいったのだ。ネッタイミノカサゴがついてこない場合、キリンミノカサゴは戻って、ヒレを振る行為を繰り返した。

 キリンミノカサゴのアプローチは報われることになった。協力して狩りをすることで、単独の場合と比べて、5割ほど高い確率で獲物を捕らえることができたのだ。

 ノースカロライナ大学チャペルヒル校海洋生物学部の大学院生、セリーナ・ハッケロット(Serena Hackerott)氏は、今回の研究はハナミノカサゴ(学名:Pterois volitans)に向けた対策の策定に役立つ可能性があると話す。ハナミノカサゴはミノカサゴ属の一種で、カリブ海から大西洋にかけての一帯で大量に繁殖し、岩礁の生態系に深刻な影響を及ぼしている。

「極めて興味深い研究で、ミノカサゴの狩りの仕方を知る足掛かりになると期待できる」とハッケロット氏は言う。「外来のミノカサゴも同じような方法で狩りをするのかどうかを見極めることが、次の重要なステップとなるだろう」。

Photograph by Pete Oxford. Minden Pictures/Corbis

文=Carrie Arnold

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