オカバンゴ・デルタ、世界遺産登録へ

2014.06.26
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
オカバンゴ川流域は、未開発の集水域としては世界最大である。

PHOTOGRAPH BY DAVID DOUBILLET / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE
 ユネスコは6月22日、ボツワナにあるオカバンゴ・デルタを1000件目の世界遺産として公式に認定した。「ワイルド・バード・トラスト(The Wild Bird Trust)」の創立者でナショナル ジオグラフィックの探検家スティーブ・ボイズ(Steve Boyes)氏は、2000年に初めてオカバンゴを訪れ、その魅力にとりつかれてしまった。以来、オカバンゴの湿地帯を駆け巡ってその自然保護にたゆまぬ努力を続けてきた。そのボイズ氏に、オカバンゴがなぜ世界の注目を浴びるにふさわしい地なのか、そしてなぜ彼がそこを「心のふるさと」と呼ぶのかについて話を聞いた。

◆まず、あなたとデルタの関係について伺います。ここを初めて訪れたとき、どのような印象を持ちましたか?

 私がオカバンゴ・デルタに出会ったのは2000年のことでした。そこに5年間滞在し、ガイドをしながら高級キャンプ場を経営していました。この地へ降り立ったとたん、「心のふるさと」を見つけたと思いました。私の魂は、この場所に永遠に繋ぎとめられてしまったのです。それ以来時間をかけてここの野生世界に触れていく中で、自分の価値観とか人生の様々な側面といったことを学んでいったのです。

◆デルタについてもう少し詳しく教えてください。どんな場所ですか?どんな人々や、動物が暮らしているのでしょうか?

 ここは、未開発の集水域としては世界最大です。そして、(ダムのない川としては)ユーコン川に次いで世界最長の川です。「扇状地」と呼ばれるこの地形は、ビリヤード台の表面のように平坦で、完璧な扇状の形で乾燥した荒野へ向かって広がっているのが、宇宙からも確認できます。

 カラハリ砂漠の乾いた盆地の真ん中に存在する真のオアシスで、数十年間に及ぶアンゴラ集水域周辺の内紛や国境争いを生き抜いてきた、手つかずの自然が広がる貴重な地域です。オカバンゴ川流域に住む多くの人々は、400年前の集落と変わらぬ生活を営んでいます。人間は自然界といかに向き合っていくべきか、彼らから学ぶことは多いでしょう。

◆どのような野生生物が生息していますか?

 その多様性には目を見張るばかりです。ここでは、地上最大のゾウの個体群が生存しています。毎冬、8万頭以上のゾウたちが来たる洪水をめざしてこのデルタにやってきて、北東部で最初の雨の兆しを認めると戻っていきます。行く手を阻むものが何もない広大な土地を、彼らは数千年もの間自由に往来してきました。ここはまた、ライオン、ヒョウ、ハイエナ、ワイルドドッグ、チーター、カバ、その他多くの動物たちにとって要となる個体群が多く生息している場所でもあります。

◆デルタには、世界遺産に登録されるだけの価値があると思いますか?

 ユネスコの世界遺産は、人類の過去を覗くことのできる最後で偉大な窓である財産を保護するべく、世界中の専門家や施政者が構成する世界遺産委員会によって決定され、優れた普遍的価値を有し、その保全が世界の自然遺産にとって重要であると認められなければなりません。デルタはその条件を十分に満たしていると思います。

 ここはアフリカ最後の自然湿地帯として、8000平方キロにわたる氾濫原、水路、沼、それに数千もの小島が広がっています。ある人に言わせると、1万以上の小島が存在しているともいいます。

◆世界遺産リストに載せる意味というのは?

 新たに世界遺産に登録されると、観光開発や土地の保全に政府や民間企業からの投資が数多く集まり、それ以後は開発が認められなくなります。特別プロジェクトを申請すれば、世界遺産基金から資金が提供され、何者かがその地域にある程度の影響を与えるような行為を行えば、仲裁にも入ってくれます。

PHOTOGRAPH BY DAVID DOUBILLET / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE

文=Jennifer S. Holland

  • このエントリーをはてなブックマークに追加