渡りをするチョウが迷わない理由は?

2014.06.25
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メキシコの生物圏保護区の一部、シエラ・チンクアで木に群がるオオカバマダラ。

PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE / NATIONAL GEOGRAPHIC
 黒とオレンジの模様が目を引くオオカバマダラは、秋になると南下を始め、メキシコ中部の越冬地を目指す。渡りのコースから外れないよう太陽を利用するが、なぜか曇りの日も方向を間違えることはない。その謎がようやく解明された。 オオカバマダラは、補助的なナビゲーションシステムとして地球の磁場を利用しているようだ。

 長距離の渡りを行う際に目的地に到達するため、ウミガメや鳥など多くの動物は体内の磁気コンパスを利用する。しかし、渡りをするチョウとして有名なオオカバマダラが同様の機能を保持しているかどうかは不明だった。専門家も体内コンパスの存在に迷い、はっきりとした結論を出していない。

 この問題に決着をつける論文が24日、「Nature Communications」誌オンライン版に発表された。やはりオオカバマダラには磁気コンパスが内蔵されているようだ。

(論文では、従来の研究が提示した証拠が矛盾していた理由も明らかにしている。オオカバマダラの体内コンパスは、雲を透過する紫外線に依存している。さらに過去の研究のいくつかは、光量を考慮していなかったという)。

 植物や一部の昆虫は、体内に青色光受容体タンパク質クリプトクロムを保持し、青い光をエネルギー源にして、成長の各段階や1日の生活リズムを調節している。アメリカ、マサチューセッツ大学ウースター校の神経生物学者で、今回の研究に参加したスティーブン・レパート(Steven Reppert)氏によれば、クリプトクロムは地球の磁場の小さな変化も感知し、特にオオカバマダラは波長の長い紫外線A波(UV-A)に依存しているという。

 南極から北極に向かう地磁気は、弧を描くような磁力線に沿って地球の表面を覆っていると、レパート氏は説明。極から離れるにつれ弱くなった磁界は、赤道付近からまた強くなる。つまり渡りの際には、磁場の勾配(強弱)を体内コンパスで感知して南北間を移動している。

 レパート氏らはフライトシミュレータを利用して、磁場と光のレベルを変えながらオオカバマダラの反応を測定。すると、オオカバマダラの方向感覚は、北極と南極の地理的な位置よりも磁場の変化に影響されることがわかった。

「主に利用しているのは、やはり日の差す方角だ」とレパート氏は話す。とはいえ、越冬地に向かえば雲も多くなるため、磁気コンパスは優れたバックアップシステムになる。

 現時点では、オオカバマダラが地磁気の座標に基づいて目的地と現在地の関係を把握する能力“磁気地図感覚”を持っているかどうかはまだわかっていない。

 レパート氏は、「その可能性も探ってみるつもりだ」と話している。

PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE / NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Jane J. Lee

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