地球温暖化、農家の移住を加速

2014.06.24
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インドネシア、テガララン近郊の水田を歩く農民。気象に関連した経済的な損失による農家の移住が増えるかもしれない。

PHOTOGRAPH BY MAURICIO HANDLER / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE
 23日、インドネシアの移住に焦点を当てた論文が発表され、地球温暖化が原因で移住する農家が増えているという研究結果が示された。「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌で発表されたこの論文によれば、インドネシアでは火山の噴火や地震といった自然災害がよく起きるが、農家にとってはそれらより気温の上昇の方が移住の重要な動機になっているという。

 地球温暖化の影響で、島は小さくなり、砂漠化が進み、モンスーンのパターンが変化している。そのため、世界中で移住が増えると予想されている。今回の研究では、インドネシアの7185世帯を4年にわたって追跡した。そして、気象に関連した経済的な損失が移住を促していることがわかった。

 プリンストン大学のプラティクシャ・ボーラ・ミシュラ(Pratikshya Bohra-Mishra)氏が主執筆者を務めた今回の論文によれば、「あらゆる環境要因のうち、気温が移住に最も大きな影響を及ぼしていた」という。同じく地球温暖化と関連性がある降水量の増加も移住の引き金になっていた。

 全般的には、摂氏25度が“ターニングポイント”となり、涼しい場所への移住が増え始めることがわかった。気温が1度上昇するごとに、移住世帯の数は約2倍に跳ね上がる。 インドネシアは人口が世界で4番目に多く、国民の大部分が農業に従事している。洪水や地震、火山の噴火による移住はごくわずかで、無視できる程度だった。

 複数の気候モデルによれば、インドネシアの気温は21世紀末までに2~2.5度上がると予測されている。今回の論文では、住民の最大5%が移住する地域もあれば、気温が上昇してもターニングポイントに達しないため、移住への影響はない地域もあるとしている。

 論文では今回の研究結果を受け、地域レベルで気候の影響を調べる必要があると結論づけている。例えばアメリカのコーンベルトでは、地球温暖化の影響で農場や農家が大きな損失を被ると予想されている。

 一方、干ばつが続くカリフォルニア州の農業従事者は、水に依存する地域の将来を憂え始めている。

『California: A History(カリフォルニア州の歴史)』の著者でもある南カリフォルニア大学の歴史学者ケビン・スター(Kevin Starr)氏は、「作物は変化する。ここは北アメリカを代表する農業地帯だ」と懸念をはねのける。「もしこのまま干ばつが続けば、この土地に合った解決策が次々と出てくるはずだ」。

PHOTOGRAPH BY MAURICIO HANDLER / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE

文=Dan Vergano

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