キリバス、海洋保護区の漁業全面禁止へ

2014.06.20
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フェニックス諸島保護区で、サンゴの上を泳ぐネムリブカ。

PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE
 太平洋の広い海域を管理する小さな島国キリバスが、カリフォルニア州の面積に匹敵する巨大な海洋保護区での商業漁業を全面的に禁止すると発表した。 キリバスはハワイとフィジーのほぼ中間に位置する群島だ。同国のアノテ・トン(Anote Tong)大統領は16日、「フェニックス諸島保護区」での商業漁業は2015年1月1日以降禁止されると明言した。

 ワシントンD.C.で開かれた米国国務省主催の「私たちの海洋(Our Ocean)」会議で発言したトン氏は、「南ライン諸島周辺の海域でも商業漁業を停止し、この海域の回復を図る」と語った。南ライン諸島での漁業も今年いっぱいで停止される予定だ。

 ナショナルジオグラフィックによる「Pristine Seas」プロジェクトの一環として、2009年に南ライン諸島の5つの無人島で初の水中探検を率いたナショナル ジオグラフィック協会付き探検家エンリック・サラ(Enric Sala)氏は、フェニックス諸島と南ライン諸島は、太平洋にあるほとんど手つかずのサンゴ礁列島の中でも代表的なものだと語る。

 サラ氏の研究チームは、健全なサンゴ礁、捕食者の豊富な個体数、大きな二枚貝やサメの生育地で埋め尽くされた手つかずの礁湖を確認した。

◆保護区の経緯

 2006年、キリバスは「フェニックス諸島保護区」の設置を宣言した。保護区は2008年に拡大され、当時としては世界最大の海洋保護区域となった。

 カリフォルニア州とほぼ同じ42万5300平方キロの面積を持つ保護区には、手つかずのサンゴ礁と8つの環礁があり、魚や鳥であふれている。1つの環礁に約50人の住民がいる以外、この区域に人は住んでいない。

 しかし2006年の宣言以来、キリバスはこの区域を商業漁業から守れていないとして、一部の科学者や環境活動家から批判されてきた。トン氏は保護区の設置宣言の際、「漁業その他の採取利用者は立ち入り禁止」にすると公言していたのだ。

 ところが実際には、同国はフェニックス諸島周辺の保護区のうちわずか3%でしか商業漁業を禁止しなかった。区域の残りの部分は依然として営利目的のマグロ漁船が行き交っており、その頻度は確実に増加していた。

 トン氏が出した最新の声明について、米国国務省経済成長・エネルギー・環境担当次官キャサリン・ノベリ(Catherine Novelli)氏は「私たちの海洋」会議で、「リーダーシップの可能性を示す見事な行動だ」と歓迎した。

 トン氏は、保護区は「未来への投資であり、海洋生物保護における人類への貢献である」と述べた。

 もっとも、海洋保護区の宣言は「実効性がなければ意味がない」と、トン氏は注意を促した。広大な海域の監視を支援するには、航空機や、衛星を利用したリモートセンシングといった技術が必要だろうと付け加えた。

 キリバスの人口はわずか10万人。トン氏は他の国々に支援を求めた。「母なる海という贈り物を守るため、持てる物を出し合おう。何もしないという選択肢はもはや存在しないのだ」。

PHOTOGRAPH BY BRIAN SKERRY / NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE

文=Brian Clark Howard

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