米政府、世界最大の海洋保護区を計画

2014.06.20
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米国の有する約1800の海洋保護区の一つ、ミッドウェイ環礁国立自然保護区で泳ぐハシナガイルカ。

Photograph by Frans Lanting / Corbis
 オバマ米大統領は17日、太平洋に海域数十万マイルに及ぶ世界最大の海洋保護区を創設する計画を発表し、また違法漁業や海産物の偽装と闘う意志を表明した。 この提案は、太平洋中央の太平洋離島海洋ナショナル・モニュメント(Pacific Remote Islands Marine National Monument)を現在の22万5000平方キロから200万平方キロの海域へ拡大するというものだ。

 国際海洋保護団体オセアナ(Oceana)のキャンペーン責任者、ベス・ローウェル(Beth Lowell)氏によると、海産物は長く複雑な物流システムを通じて取引されるため、その過程が不透明になりがちで、製品に間違った表示がされることが多い。

 9月に「Marine Policy」誌に発表された研究では、米国が輸入する天然の海産物の20~32%は違法で無秩序な闇漁業によるもので、正式な報告がなされていないことが明らかになった。

◆大きな影響?

 環境保護活動家らは、この発表を歓迎した。「新しいナショナル・モニュメントができれば、相互に作用する生態系全体に対する保護の最も良い例となるだろう」と、現地に滞在するナショナルジオグラフィック探検家、エンリック・サラ(Enric Sala)氏は述べる。

 現在、保護されている海域は全海洋の2%にも満たず、一切の漁業が禁じられている地区はその半分に過ぎない。

 太平洋離島には数百万羽の海鳥が巣を作り、ヒナを育てる。海鳥の中には周辺の浅い海に生息するサメの餌食になるものもいる。

「この地域の生態系は巨大なエネルギーのコンベアーベルトのようなものだ」とサラ氏は話す。同氏は、同地域の保護の決定に重要な役割を果たした調査隊のリーダーを務めている。

 2005年、調査隊は太平洋離島のキングマン・リーフを訪れ、サラ氏のチームは、手つかずのサンゴ礁にサメなどの最上位捕食者の数が餌となる生物全体を上回って生息していることを発見した。これは動物の世界では珍しい。この現象は「逆バイオマスピラミッド」と名付けられ、2009年、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領は大統領告示でナショナル・モニュメントを創設すると宣言した。

 今回のオバマ大統領の拡大提案により、保護海域にはさらに241の深海山脈が加えられることになる。これらの山脈には数千年の年齢の深海サンゴなど、稀少で壊れやすい生態系が存在している。海生哺乳類22種とウミガメ5種がこの海域を生息地や餌場とする。

◆海洋保護区の役割

 米国は1800近くの海洋保護区を持ち、その中には素晴らしい岩礁や考古学の海底遺跡、優れた商業漁業場や観光ダイビングサイトがある。

 保護区は海域2平方キロほどの小さなものから、36万平方キロを超える大きなものまであり、その範囲は北極圏から南太平洋、メイン州沖からカリブ海、そして西はフィリピン海まで広がっている。

 気候変動と環境問題に関する大統領顧問、ジョン・ポデスタ(John Podesta)氏は先週、海洋保護区は観光客を呼び込み、魚種資源を回復させて収穫アップに繋がることから、経済発展のエンジンとなるだろうと述べた。

Photograph by Frans Lanting / Corbis

文=Brian Clark Howard

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