地球で最多量の鉱物、ようやく命名

2014.06.19
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地球深部の下部マントル内に豊富に存在する鉱物がブリッジマナイトと命名された。地球に135年前に墜落した隕石が、研究の手がかりとなった。

Photograph by Chi Ma / Caltech
 地球に最も多量に含まれると目されている鉱物に、このほど初めて名前が付けられた。ブリッジマナイト(bridgmanite)という。 この鉱物の存在は、専門家の間では数十年前には知られていたが、直接調べられるようになったのはここ数年のこと。地底の奥深くに豊富に眠っているが、存在の確認と調査が行われたのは、135年前に地球に衝突した隕石を用いてのことだ。

 これまでその化学的組成から、ケイ酸塩ペロブスカイト((Mg,Fe)SiO-3)と呼ばれていたこの鉱物に与えられたブリッジマナイトという名前は、高圧に関する研究で1946年にノーベル物理学賞を受賞したパーシー・ブリッジマン(Percy Bridgman)氏にちなむ。

 カリフォルニア工科大学の鉱物学者チー・マー(Chi Ma)氏はナショナルジオグラフィックの取材に対し、今回の命名はブリッジマン氏の「高圧物理学の礎を築いた功績」に敬意を表したものだと答えた。

 マー氏はネバダ大学ラスベガス校のオリバー・チャウナー(Oliver Tschauner)研究准教授とともに、この鉱物の性質を研究した。研究を率いたのはチャウナー研究准教授である。

「この研究は、鉱物の分類上の悩みの種であった空隙を埋めるものだ」と、チャウナー研究准教授はアメリカ地球物理学連合に対してコメントしている。

 ブリッジマナイトは地球上で最も多量に存在する鉱物と考えられているが、これまで間接的な調査しか行えずにいた。地球の深部でのこの鉱物の移動に伴い、地震波に変動が生じるのを計測するという形であった。この鉱物は地表から670~2900キロメートルの深さにかけて広がる下部マントルに含まれると考えられている。

◆高温、高圧下で形成

 ブリッジマナイトは地球の深部のような高温、高圧下で形成され、その結果、独特の原子配列が生まれる。

 チャウナー研究准教授とマー氏は2009年から、有名なテンハム隕石の中にこの鉱物が含まれていないかと調査を開始した。この隕石は1879年にオーストラリアのクイーンズランドに落ちたものだ。

 テンハム隕石からは、1960年代にまず高圧鉱物のリングウッダイトが発見された。それ以降、この隕石や類似の隕石の中から、ほかにも高圧鉱物が見つかるのではないかとして、調査が進められているとマー氏は説明する。

 この隕石は45億年前に形成され、宇宙空間の高エネルギーの衝撃という、地球の深部と似たような高温、高圧環境に耐えてきたものと見られる。

 隕石の中から天然のブリッジマナイトが見つかったことで、地球の深部での物質の生成と形成のメカニズムの理解が進むものと期待されるとマー氏は言い添える。

 また、太陽系における小型の天体同士の衝突によって物質が変成する過程についても、新たな知見を得られる可能性がある。

 ブリッジマナイトは非常に不安定な鉱物で、電子顕微鏡の電子ビーム照射に耐えられない。そのため、チャウナー研究准教授とマー氏は5年かけてさまざまな実験を行い、ようやくその構造を突き止めた。最終的に有効であった検査方法はシンクロトロンX線回折といい、シカゴおよびカリフォルニア州バークレーの実験施設で行われた。

 両氏はこの鉱物の構造と命名をまとめ、国際鉱物学連合に2014年3月に提出した。これは確認のうえ、6月2日に承認された。

Photograph by Chi Ma / Caltech

文=Brian Clark Howard

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