巨大な牙で愛されたゾウ、サタオ殺害

2014.06.17
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2013年、堂々たる巨大な牙を見せながら水たまりの水を飲むサタオ(上)。全盛期の姿をケニア、トサボ・イースト国立公園で撮影。密猟者に殺され、顔を切断されたサタオ(下)。トサボ・イースト国立公園で5月撮影。

Photographs by (abave) Mark Deeble and Victoria Stone, www.markdeeble.wordpress.com; (below) Mark Deeble and Victoria Stone, www.markdeeble.wordpress.com
 ケニアで最も愛されていたゾウの1頭サタオ(Satao)が命を奪われた。巨大な牙を得ることが目的だった。専門家たちは“とてつもない”損失だと嘆いている。 非営利団体(NPO)のトサボ・トラスト(Tsavo Trust)によれば、サタオはトサボ・イースト国立公園で毒矢に倒れた。矢を放ったのは密猟者で、サタオが苦しみながら息絶えるまで待ち、象牙を得るために顔を切断したという。トサボ・トラストは一帯の野生生物と地域社会を守るために活動している。

 密猟者たちはサタオの巨大な牙に魅せられていた。

 NPOワイルドライフダイレクト(WildlifeDirect)に所属し、ケニアで野生生物の保護に取り組むポーラ・カフンブ(Paula Kahumbu)氏は、「巨大な牙を持つゾウが残っている国はおそらく世界中でケニアだけだろう」と話す。

「サタオのような動物がいなくなることはケニアにとって大きな損失だ。あの場所の名物として多くの観光客を引き付けていた」。

 トサボ・トラストは次のような声明を発表している。「本当に残念なことだが、サタオが密猟者の毒矢に倒れ、死亡したことを確認した。はるか遠くの国に象牙を供給し、底なしとも思える欲望を満たすことが目的のようだ」。

「はるかかなたの国の誰かが棚に飾る小物のために、尊い命が失われた」。

 サタオはとても目立つため、特別な保護を受けていた。それでも、守ることができなかった。

 トサボ・トラストとケニア野生生物公社はこの18カ月、空と陸からサタオの動きを追っていた。トサボ・トラストによれば、「生前、サタオの巨大な牙は空からでも容易に確認できた」という。

 サタオは通常、4頭のオスとともに、予測可能な狭い範囲で行動していた。ところが最近、大雨に見舞われたため、餌を求めて国立公園の境界あたりまで遠出していた。この付近は密猟が盛んなことで知られ、特に毒矢の使用が目立つ。

◆密猟の代償

 1930~1940年代、アフリカ大陸には500万頭ほどのアフリカゾウがいただろうと推測されているが、現在は47万2000~69万程度まで減少している可能性が高い。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧II類に指定されている。

 自然保護団体の見積もりでは、毎年3万~3万8000頭のゾウが象牙を得るために密猟されている。象牙の主な行き先は中国やタイといったアジアの消費国だ。

 ケニアには有名なゾウを守ってきた歴史がある。カフンブ氏は、「ケニアの初代大統領ジョモ・ケニヤッタは力強いメッセージを伝えている。巨大な牙を持つアハメド(Ahmed)というゾウを大統領の権限で保護したのだ」と話す。

「2人の武装した護衛が24時間体制で付いていたため、アハメドは長生きした。ウフル・ケニヤッタ大統領もこれにならうべきだ」。

「こうしたゾウを守ることができなければ、アフリカの巨大な牙の遺伝子は永遠に失われてしまう」。

Photographs by (abave) Mark Deeble and Victoria Stone, www.markdeeble.wordpress.com; (below) Mark Deeble and Victoria Stone, www.markdeeble.wordpress.com

文=Christine Dell'Amore

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