商業捕鯨再開へ首相意欲、海外の反応は

2014.06.13
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日本の調査捕鯨プログラムで捕獲されたミンククジラが、船から降ろされる様子。

PHOTOGRAPH BY KYODO NEWS, AP
 日本時間6月9日、安倍晋三首相は国会の決算委員会における答弁で、商業捕鯨の再開に向けた努力をいっそう強めていくとの意向を示した。 安倍首相はこの委員会答弁で、「商業捕鯨の再開を目指したいと考えており、そのために国際法や科学的根拠に基づき、鯨資源の管理に不可欠な科学的情報を収集するための捕獲調査を実施していく」と述べたと、英「Guardian」紙が伝えている。

 3月には国連の司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が、日本が南極海で行っていた捕鯨活動の停止を命じる判決を下している。同海域における日本の調査捕鯨プログラムは、データ収集のために鯨を捕獲したのちにその肉を日本で販売するものだが、これについてICJは、全く科学的な調査とは言えず、実質的に商業捕鯨と考えられるとの判断を示した。

 日本の調査捕鯨プログラムでは、妊娠している個体の割合や、生殖が可能になる年齢などの情報収集が目的とされている。しかし、調査捕鯨に批判的な人からは、こうした科学的データを集めるだけなら、鯨を捕まえて殺す致死的調査はもはや必要ないとの声がかなり以前からあがっていた。

 日本の南極海における捕鯨活動は科学的な調査と言える性質のものではないとの懸念から、オーストラリアは2010年にニュージーランドの支援を得て、ICJに対して日本を相手取った訴えを起こした。ニュージーランドのマレー・マッカリー外相は声明の中で、今回の安倍首相の発言を「憂慮すべきもの」と表現している。

「安倍首相が短期的に提案している正確な内容ははっきりしないが、国会の委員会という場で商業捕鯨再開を目指すと答弁したこと自体が残念であり、事態の改善にはつながらない」と、マッカリー外相は続けた。

◆揺れ動く日本の捕鯨政策

日本は国際捕鯨委員会(IWC)が取り決め、1986年から施行されている商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を、当初から順守している。しかしながら、この取り決めには抜け穴があり、これにより日本は科学調査目的の捕鯨を行ってきた。

 調査捕鯨プログラムは、かつての商業捕鯨により減少した南極海における鯨の個体数が回復したことを示し、モラトリアムがもはや必要ないことを示す目的で行われていたと、リー・ヘンリー(Leigh Henry)氏は説明する。同氏はワシントンD.C.に本部を置く世界自然保護基金(WWF)で野生生物保護に関する上級政策顧問を務めている。

 リー氏によれば、日本はモラトリアムが解除され、個体数が増えた鯨の漁が再び可能になることを期待していたという。

 2014年3月のICJの判決は、日本の捕鯨活動のうち南極海に関するもののみを対象としている。判決を受けて、日本は南極海での捕鯨活動の停止に同意したが、科学的調査という抜け穴を用いて沿岸部でのミンククジラ漁を継続していると、ヘンリー氏は指摘する。

「安倍首相の発言には大いに失望している。(国際司法)裁判所の判決により、(日本の調査捕鯨は)終わりを迎え、日本は撤退するものと、誰もが期待していたはずだ。だが、日本にその意思がないのは明らかだ」と、ヘンリー氏は述べている。

PHOTOGRAPH BY KYODO NEWS, AP

文=Jane J. Lee

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