金髪と白い肌、青い目は無関係だった

2014.06.03
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最新の研究によれば、金髪は遺伝子の“微調整”によって生まれるという。この発見が病気を遺伝学的に治療するヒントになるかもしれない。

Photograph by Martin Schoeller / National Geographic Creative
 人々は何千年も前から金髪を尊び、真似てきた。最新の研究によれば、この特別な金色の髪はほんの小さな遺伝子の突然変異によって生み出されているという。具体的には、ヒトのDNAという30億文字から成る文書の中の1文字、AがGに置き換わっただけだ。 研究を率いたデイビッド・キングスレー(David Kingsley)氏は、この変異こそが「金髪の自然発生を促す生物学的なメカニズムだ」と話す。キングスレー氏はスタンフォード大学で発生生物学の教授を務めており、ハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute)の研究員でもある。「これは形質がどのように制御されるかの好例だ。また、金髪は本当の意味で表面的な違いにすぎないことがわかった」。

 また、キングスレー氏によれば、1日付で「Nature Genetics」誌に発表した今回の研究では、ヒトゲノムの働きについても説得力のある洞察を示しているという。ヒトゲノムは2万の遺伝子から成るが、金髪を発生させる突然変異はそれらの遺伝子によるタンパク質の生成に一切の影響を及ぼさないと、キングスレー氏は説明する。むしろ、ヨーロッパ系の人々に金髪が発生するのは、皮膚にある毛包のシグナル伝達にかかわる遺伝子を制御する“サーモスタットのダイヤル”が突然変異によって20%“回された”結果だ。ちなみに、キングスレー氏の髪はこげ茶色だ。

 体のほかの部分では、シグナル伝達を担う遺伝子は血液や卵子、精子、幹細胞の形成にかかわっている。そのような遺伝子のスイッチを入れたり切ったりすれば、その影響は計り知れない。1カ所、この場合は皮膚のみで、小さな突然変異によって遺伝子の活動を微調整すれば、周囲に影響を及ぼすことなく変化させられるとキングスレー氏は話す。

◆わずかな変化が大きな違いを生む

 金髪への突然変異を突き止めるため、キングスレー氏の研究チームはゲノムのある部分を調べた。アイスランドやオランダの人々の金髪との関連がすでに指摘されている部分だ。キングスレー氏らは慎重に調査を進め、金髪を発生させる文字の変化をついに特定した。

 次に、ペトリ皿で培養したヒトの皮膚細胞を用い、文字の変化によって何が起きるかを実験した。すると、シグナル伝達を担う遺伝子を制御するスイッチに活動の低下が見られた。キングスレー氏らはさらに、突然変異が生じたマウスと生じていないマウスを飼育した。文字の変化だけで金髪のマウスをつくり出すことはできなかったが、突然変異が生じたマウスの方が明るい毛色になった。

 髪の色のような一般的な要素、しかも一目見てわかるもののメカニズムが解明されれば、ほかの部分での遺伝子の働きも説明できるかもしれないとキングスレー氏は期待する。例えば、病気などの重要性が高い部分だ。「原理を理解できれば、病気の治療薬の発見につながる可能性もある」。

 キングスレー氏によれば、金髪への変異は遺伝的にほかの形質との関連が一切ないという。目の色さえも無関係で、われわれが持つ金髪に青い目というイメージは根拠がないということだ。一方、赤毛を発生させる変異など、多くの変異は遺伝子のタンパク質構造に影響を及ぼし、その遺伝子が発現する体のすべての部分を変化させることが知られている。例えば、赤毛と白い肌、淡い色の目はセットになる傾向があると、キングスレー氏は説明する。さらに、痛みや温度変化に敏感という特徴を伴うこともあるという。

Photograph by Martin Schoeller / National Geographic Creative

文=Karen Weintraub

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