サルも引き算ができる

2009.02.18
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引き算の答えを選び、タッチスクリーンを押すアカゲザル(デューク大学の研究室にて)。丸が3個のグループの方が8個のグループより丸が大きい。グループの物理的な大きさではなく、丸の数で答えを選ぶようにするための工夫だ。

 この実験でアカゲザルは引き算で“広範な成功”を収めた。人間以外では初めてとなる。2009年2月の学会で科学者チームが発表した。

Photograph courtesy Jessica Cantlon, Ph.D./Duke University
 引き算はサルにもできる。人間はそれほど特別な存在ではないことを示す理由がまた1つ見つかった。 人間以外の動物が引き算で初めて“広範な成功”を収めたとアメリカの科学者チームが12日に発表した。

 デューク大学の研究室で、アカゲザルがタッチスクリーンに表示された小さな丸印の引き算に成功した。丸をそのまま数えるのではなく、“数感覚”と呼ばれる瞬間的な認識能力が使われた。

 実験でアカゲザルはまず複数の小さな丸を見せられた。次に大きな四角が画面に現れ、すべての丸を覆い隠した直後に、いくつかの丸が四角の“後ろ”から画面の外に移動する。画面には大きな四角がそのまま残り、背後に残された丸が隠れている状態で停止する。

 次の画面で決断の時がやってくる。丸のグループが画面に2つ表示され、どちらかが四角の背後に残された丸の数と一致する。アカゲザルは正しいと思う方にタッチした(写真は選択しているサル)。サルは正解するたびに「クールエイド(Kool-Aid)」というアメリカの子どもに人気の粉末ジュースが与えられる。

 研究を率いた一人、心理学者のジェシカ・カントロン氏によると、実験の大部分でサルたちは計算せずに正しい答えを選択したという。同氏はシカゴで開催されたアメリカ科学振興協会の会合で、「比較のために試験を受けた大学生とアカゲザルの正解率は変わらなかった」と報告した。いずれのグループもわずか1秒ほどで正しい答えを選択したという。

 このような共通点があるということは、「こうした能力は、数字について判断する原始的なシステムの一部であり、数百万年以上にわたる進化の過程で受け継がれてきた可能性がある」とカントロン氏は言う。

 過去に行われた研究では、人間以外の動物が引き算で発揮した能力は限られたものだった。今回のデータは「広範な成功を初めて証明するもの」だと、カントロン氏は電子メールで述べている。

 同氏によると、他の研究者による過去の実験では、小さな数しか使われていないという。また、答えを選ばせる段階ですべての丸を同じ大きさで表示していた。そのため、丸の数の多いグループの方が見た目にも大きく、サルたちはどちらの数が大きいかヒントを得ていた可能性がある。

 同氏は2007年にも論文を共同執筆し、サルが足し算に成功したことを証明している。こちらも同じ課題を行った大学生とサルの成績は同等だった。

「数を理解する能力は、動物が野生で生き抜く助けになる可能性がある」と、同氏はナショナル ジオグラフィックニュースに語っている。例えば、類人猿は周囲の食べ物の量を一目で見きわめ、そこにとどまって食べるべきか、先に進むべきかを判断できることが研究で示されているという。

 チャールズ・ダーウィンの生誕からちょうど200年。アイオワ大学で実験心理学の研究を行うエドワード・ワッサーマン氏は、「なにも落ち込む必要はないが、われわれはもう少し謙虚さを大事にしなくては」と話す。「この実験が示すように、高い知能を持つ動物の存在を知らないのは人間だけなのかもしれない」。

Photograph courtesy Jessica Cantlon, Ph.D./Duke University

文=Christine Dell'Amore in Chicago

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