プミリオルニス・テッセラトゥス(Pumiliornis tessellatus)は、体長8センチの鳥で、ハチドリと同等の大きさ。現在確認されている最古の授粉媒介鳥である。

Photograph by Sven Traenkner / Senckenberg Research Institute
 現代のハチドリは、花から花へ花粉を運び、その生殖を手助けしている。しかし、同じ任務を背負っていたその祖先は、ハチドリとは全く異なった鳥類であった。最新の報告によると、数千万年も前の鳥の化石から、鳥による授粉媒介の最も古く、直接的な証拠が発見されたという。 ドイツにある化石の宝庫メッセル採掘場で発見された鳥の化石は、体長8センチで、裏庭の餌箱にやってくるハチドリくらいの大きさだ。その腹の中には虫の欠片や花粉の粒子が多く残っていた。フランクフルトにあるゼンケンベルク研究所の鳥類学者で、報告書の筆頭著者であるゲラルド・マイヤー(Gerald Mayr)氏によれば、この鳥の最後の晩餐は、現代の授粉媒介鳥とそれほど変わらなかったようだ。現代の鳥も、花の蜜を大量に吸い上げて食糧とするが、花粉や虫を食べることもある。

◆鳥類の系統

 今回発見された化石は、既に絶滅した鳥類プミリオルニス・テッセラトゥス(Pumiliornis tessellatus)のものと見られている。その足は、枝にしがみつくことができる骨格となっており、細長いくちばしはハチドリのような広い開口部を持っている。しかし、現代の鳥の中にこれに近い種類のものはいない。

 マイヤー氏によれば、これまで一番古いとされてきた授粉媒介鳥はハチドリで、3000万~3400万年前から存在している。しかし、これらの証拠は鳥による授粉媒介を間接的には示しているものの、太古の鳥が本当に花々の間を訪れて回っていたかどうかを示すものではなかった。

 過去に見つかっている鳥や植物の化石の構造から、この「とてもおかしな姿をした」新しい種類の鳥がいた頃から、鳥による授粉媒介は行われていたのではないかとマイヤー氏は推測している。腹の中から見つかった花粉は、どんな植物のものであるか分かっていないが、その当時既に、鳥に授粉を媒介してもらえるよう進化していたのは間違いない。

 新しく発見された化石が示すことは、「鳥による授粉媒介が、今まで証拠が上がっていたよりも前から存在しており、思ったよりも複雑な過程になっていたことだ」と、カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学の植物学者、クエンティン・クロンク(Quentin Cronk)氏は説明する。「この鳥は明らかに、現代の鳥とは別の系統に属している」。クロンク氏は、今回の研究には携わっていない。

◆対立する学説

 鳥による授粉媒介は、進化を見せた後、また消えていったという説も存在し、今回の発見はそれを裏付けるものだと主張する研究者もいる。メッセルでは他にも、現代のミツバチと同じ系統で、既に絶滅したハチの化石が発見されている。スミソニアン協会の国立自然史博物館の職員で節足動物の化石を専門とするコンラッド・ラバンデイラ(Conrad Labandeira)氏によると、「当時の生態系の一部であったこの小さなハチも絶滅していった。現代に存在しているハチは、それよりもずっと後になって出現したものだ」と説明する。

 メッセルからは、植物と動物の化石が数多く発見されている。「両方の種の要素をひとつの場所に見ることができ、両者の進化の過程を学ぶのに最適な場所だ」と、インディアナ大学の化石植物学者デイビッド・ディルヒャー(David Dilcher)氏は言う。「4700万年前に存在していた動物王国と植物王国が、種を超えて握手を交わしているかのようだ」。

 この報告は、5月28日に「Biology Letters」誌オンライン版に掲載された。

Photograph by Sven Traenkner / Senckenberg Research Institute

文=Traci Watson