米西部で平常化する干ばつと森林火災

2014.05.22
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カリフォルニア州クパチーノのスティーブンス川貯水池は、2014年3月にほとんど干上がっていた。

PHOTOGRAPH BY MARCIO JOSE SANCHEZ. ASSOCAITED PRESS
 南カリフォルニアで、例年よりも早く5月上旬に、森林火災のシーズンが到来した。いつもならこの時期、カリフォルニアの空はひんやりとした灰色の雲で覆われているのだが、今年の春、空には本物の灰が舞い飛んでいる。カリフォルニア州の消防機関カル・ファイア(Cal Fire)の広報官が「Los Angeles Times」紙に語ったところによると、消防隊の火災出動件数は今年既に、いつもの2倍である1400件近くにのぼっている。5月16日の「New York Times」紙は、10年前に比べて今では西部の森林火災のシーズンが75日長くなっていると報じた。 そもそもの問題は、カリフォルニアで依然として続く3年にもおよぶ干ばつだ。これに加えて冬もいつもより暖かったため、カスケード山脈とシエラネバダ山脈の雪塊氷原が縮小している。森林火災の発生率を高めるレシピだ。西部の森林火災の件数と規模は増大しているとの報告もあり、研究者らはこの干ばつが長期的傾向の始まりとなるのではないかと懸念している。過去1000年間に発生した西部の干ばつの中には、今よりもさらに深刻なものもあり、それが繰り返される可能性もある。

 カリフォルニアの水供給量は少なく、川の水位は低く、森林は乾燥している。自治体や農家は、州からの配水で地元の供給不足を補っているが、ダムや貯水池、用水路のネットワークを管理している州当局は、配水量を通常の5%にまで削減している。全米最大の農業経済を誇るカリフォルニアは、作物を育てるために灌漑用水に大きく依存している。カリフォルニア農業用水連盟は、水不足で今年約3200平方キロの農地が休耕せざるを得ないだろうと見積もっている。サクラメントやサン・ウォーキン・バレーの農家は、農地の一部でも使えるように井戸を掘っているが、これが今度は帯水層の枯渇を引き起こしている。

◆猛暑、乾燥、虫

 オレゴン州立大学の気候科学者フィリップ・モート(Philip Mote)氏による50年間の調査記録は、西部の山の雪塊氷原が縮小していることを示しており、この傾向が続けば、川の魚や農作物、住宅地の水道など、年間を通して雪塊氷原からの水に大きく頼っている地域は打撃を受けるだろう。

 アメリカ政府が今月発表した最新の「アメリカ気候評価」は、アメリカ西部における今後の見通しとして、南西部で「気候変動による猛暑、干ばつ、虫の大発生で森林火災が増加している。水供給の減少、農作物生産量の低下、都市部での暑さによる健康被害、沿岸部の洪水や浸食などもさらなる懸念材料である」と警告する。

◆秋に恵みの雨か?

 しかし、希望の兆しは見えている。数年ごとにやってくる太平洋の嵐エル・ニーニョだ。暖かい海水が東へ移動し、南北アメリカ大陸の西海岸地域に大量の雨をもたらす。NASAの衛星によると、現在太平洋の赤道付近でエル・ニーニョの発達が見られるという。 もしエル・ニーニョがやってくれば、カリフォルニアをはじめとするアメリカ西海岸は、数年来の干ばつからようやく開放されるかもしれない。しかしその一方で、大型のエル・ニーニョは短期間で必要以上に大量の雨を降らせるという懸念もある。

PHOTOGRAPH BY MARCIO JOSE SANCHEZ. ASSOCAITED PRESS

文=Dennis Dimick

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