熱帯低気圧、両極寄りに移動の傾向

2014.05.16
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2012年10月28日米国東部夏時間午後1時45分、静止気象衛星GOES 13がとらえたハリケーン「サンディ」の自然色画像。

PHOTOGRAPH BY ROBERT SIMMON AND NASA/NOAA GOES PROJECT SCIENCE TEAM. NASA EARTH OBSERVATORY
 新しい研究によると、熱帯性低気圧は過去30年間の間、最大勢力の観測される場所がしだいに高緯度になり、全体的に地球の両極方向へと移動しているという。 しかし、アメリカ海洋大気庁(NOAA National Climatic Data Center)のジェームズ・コーシン(James Kossin)氏率いる研究チームが「Nature」誌に発表した研究によると、熱帯性低気圧は海水温度の上昇や、大気上層部における風の変化によって移動しているようだ。研究論文では、「地球の過去のデータから、両極へ向かう移動は明らかだ」としている。

 1982~2009年の8つの海盆における衛星観測データを平均し、熱帯性低気圧の強度が最大となる位置を計算した結果、赤道からしだいに離れていっていることがわかった。

 北半球では平均53キロ北上し、南半球では60キロ南下している。だたし、2012年にハリケーン「サンディ」が猛威を振るったことで高まっている人々の不安に反し、大西洋で発生するハリケーンには移動傾向が見られない。

 オーストラリアのモナシュ大学の気候学者、ハミッシュ・ラムゼイ(Hamish Ramsay)氏はこの研究の論評で、地球温暖化で海水温度が上昇すると熱帯性低気圧の強度が増し、また、それを回転させる風も強まるため、それによって熱帯性低気圧が全体的に移動しているようだと述べた。

 大西洋のハリケーンにこの移動傾向が見られない理由は明らかでないが、エルニーニョとラニーニャの周期がハリケーンに及ぼす影響と関係しているのではないかとラムゼイ氏は考えている。

 同氏は、熱帯性低気圧が移動しているという事実が明らかになったことで、熱帯性低気圧の発生頻度が今後どう変化するか、また、上陸頻度は高まるかという大きな問いが生まれたと述べている。

PHOTOGRAPH BY ROBERT SIMMON AND NASA/NOAA GOES PROJECT SCIENCE TEAM. NASA EARTH OBSERVATORY

文=Dan Vergano

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