飛べない鳥、進化の謎を解明か

2014.05.14
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
小川を渡るヒクイドリのメス。オーストラリア、クイーンズランド州のデインツリー国立公園内にて。

PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN ZIEGLER / NATIONAL GEOGRAPHIC
 大型の飛べない鳥は、南半球の南極以外の全大陸に広く分布している。ダーウィンの時代から、人々はこの飛べない鳥たちの関係に思いを巡らせてきた。 ダチョウ、エミュー、ヒクイドリ、レア、キーウィは飛べない鳥だ。普通の鳥と違い、胸骨は平らで、飛ぶのに必要な胸筋を支える竜骨突起がない。翼は貧弱で、重い体を地面から飛び立たせる力はない。これらの飛べない鳥は走鳥類と呼ばれ、他の鳥類とは明確に異なるグループだ。

 ダーウィンはこれに気づき、走鳥類は互いに類縁関係にあると予想していた。また同時代のトーマス・ハクスリーは、走鳥類に共通する別の特徴を発見した。口蓋の骨の配置が、他の鳥類よりも爬虫類に似ているというものだ。

 しかし、ある厄介な細部の問題がハクスリーを悩ませていた。南米に分布する小型で地表棲のシギダチョウは、走鳥類とも他の鳥類ともしっくり合わないようなのだ。

 シギダチョウはわずかながら飛ぶことができる。また竜骨突起のある胸骨を持つことから、進化的に飛べる鳥に近いことが示唆される。しかしその口蓋骨の特徴は、走鳥類のものだ。シギダチョウはどのグループに属しているのだろうか。

 科学者たちは150年もの間、この問題を議論し続けてきた。そしてついに、これまで集められた大量の分子データセットの解析によってシギダチョウの進化系統樹上の位置が明らかになり、飛べない鳥の起源についての手がかりが得られた。

 詳細な関係を明らかにするため、シギダチョウ、エミュー、ダチョウ、絶滅種のヤブモアなどから得られたDNAの約1500部位が調査された。

 先行研究ではシギダチョウを走鳥類の外に置くものが多かったが、これは骨格の一部など形態的特徴のみに基づいている。一方で限られた遺伝情報からは、シギダチョウが進化的には飛べない鳥に絡んでいることが示唆されていた。

 今回の研究結果は驚くべきものだったと、論文の筆頭著者アラン・ベイカー(Allan Baker)氏は語る。シギダチョウは別の系統ではなく、走鳥類の中から進化していた。「そしてDNA解析の結果から、モアとシギダチョウが近縁であることが明らかになった」とベイカー氏は続ける。

◆飛べない鳥の起源

 シギダチョウの進化系統樹上の位置が決定されたことによって、飛べない鳥の起源を垣間見ることができる。ベイカー氏によると、シギダチョウを含む全ての走鳥類は、その祖先をたどると飛翔能力を持つ近縁種に行き着くようだ。シギダチョウではまだ飛翔能力が残っているが、他の系統ではそれぞれ独立に飛べなくなったという。「飛べない祖先から現れたシギダチョウが再び飛翔能力を進化させたというのは、非常に考えにくい」とベイカーは述べている。

 これまでの仮説では、超大陸パンゲア南部の分裂によって飛べない走鳥類の祖先の集団が分割され、各大陸に閉じ込められたグループがそれぞれその場所で進化したと考えられていた。このストーリーは、飛べない鳥がどうやって海を越えて広がったのかを説明するのに都合が良かった。「私たちはモアとキーウィは姉妹なのだと教えられて育った」とベイカー氏は語っている。

 しかし、どうやらそれぞれのグループは独立にニュージーランドへ侵入したようだ。新しい証拠は、1億年以上前のパンゲア分裂のタイミングに合致していない。研究によると、走鳥類が進化の過程で異なる系統に分岐したのは9000万~7000万年前、シギダチョウとモアが分岐したのは約4500万年前だ。「この鳥たちが飛んで大陸を渡り、その後独立に飛べない形質を進化させた可能性は否定できない」とベイカー氏は述べている。

 今回の研究結果は「Molecular Biology and Evolution」誌で2014年5月13日にオンライン公開された。

PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN ZIEGLER / NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Alison Fromme

  • このエントリーをはてなブックマークに追加