新たに発見された踊るカエルの1種、ミクリサルス・コッティゲハレンシス(Micrixalus kottigeharensis)。

Photograph by S. D. Biju / Systematics Lab
 14種類の小さな“踊るカエル”がインド西部のジャングルで新たに発見され、その数は現存種のおよそ2倍の24種になった。 体長13~35ミリほどのその小型両生類は、10年間におよぶ長い研究の末、インド西岸沿いを南北1600キロに渡って縦断する西ガーツ山脈で発見された。

 今回の研究は、インドにおけるカエル発見の第一人者で、デリー大学の両生類生物学者サティアバマ・ダス・ビジュ(Sathyabhama Das Biju)氏が指揮した。同氏による数多くの発見には、希少なインドハナガエル(学名:Nasikabatrachus sahyadrensis)が含まれる。

 身体的特徴と分子DNAマーカーの両方を使用して識別された新種のカエルは、ビジュ氏と彼のチームによって科学誌「Ceylon Journal of Science (Biological Sciences)」の最新版に発表された。

 彼らの発見により、新種のカエルは恐竜の時代から跳びはねていたミクリサルス(Micrixalus)と呼ばれる古代種に属することが明らかになった。

◆脚で合図

 小滝から水しぶきが飛び散る流れの速い渓流と併せ、最小でもハチの大きさに満たない踊るカエルの小さな体とその完璧なカモフラージュのために、彼らの発見には非常な困難が伴うとビジュ氏は語る。

 だが、モンスーンが過ぎると熱帯雨林の小川は繁殖に理想的な水位となり、「彼らを見つけるのが比較的たやすくなる」。

 一番目立ったのはオスのカエルで、少なくとも14種中9種が“フット・フラッギング(foot-flagging)”と呼ばれる奇妙な誇示行動を使ってメスに自らをアピールした。

 この行動は、後ろ脚を体から遠く伸ばし水かきの付いた足指を完全に広げて振るものだ。宙に上がった足は、時折ライバルのオスを押しのけるのに役立つ。

「新種のいくつかで、メスは後ろ足を使って浅く流れの緩い川底に穴を掘り、卵を産み付けた」。

 巣を作り産卵を終えると、メスはそれに砂と砂利を被せる。おそらく卵が流れるのを防ぐのと魚やほかの外敵から守るためだろうとビジュ氏は説明した。

◆目立った行動

 オーストリア、ウィーン大学動物学研究所のウォルター・へドル(Walter Hodl)氏によると、“フット・フラッギング”は、オーストラリアからブラジルに至る世界中の他種のカエルでも数多く記録されている。

 オスによる視覚的誇示行動は、交尾相手を呼ぶ声が渓流の雑音によってかき消されるためであろうと、へドル氏は述べた。

 またメスの巣を掘る行動については、「小川で繁殖するカエルにとって、卵をどこかに隠さなければならない必要性」によるものだろうと同氏は付け加えた。

 新しい発見により、西ガーツ山脈はカエルやその他両生類の世界的な生物多様ホットスポットとして注目されるだろう。

◆ラストダンス?

 一方、ビジュ氏は農業やその他人間活動によって引き起こされる生息地喪失の影響について懸念している。

「踊るカエルの過去12年に渡る野外研究で、かつて多くのカエルが生息していた地域で個体数が減少していることに気が付いた」と同氏は言う。「多くの種が宿る生息地は劇的に減少するか変化を遂げている」。

 新種のいくつかは1カ所でしか記録されておらず、踊るカエルの約30%は政府によって保護されていない地域に生息する。つまり、これらのユニークな両生類数種にとってはラストダンスとなるかもしれない。

Photograph by S. D. Biju / Systematics Lab

文=James Owen