トウモロコシ、収穫量減少へ転じる恐れ

2014.05.07
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トウモロコシの収穫量は、減少傾向を埋め合わせることができる新しい品種や農業技術が出現しなければ、15~30%減少するかもしれない。

PHOTOGRAPH BY JOHN STANMEYER VII / NATIONAL GEOGRAPHIC
 アメリカ国内のトウモロコシ収穫量は、この18年間で干ばつの影響を受けやすくなってきたという。受けにくく、ではない。今回発表された研究報告では、この傾向が続けば気温の上昇によってトウモロコシは水ストレスにより強くさらされることとなり、今世紀半ばまでに収穫量は実質的な減少へ転じるおそれがあると警告している。 トウモロコシの収穫量は、まだ減少していない。それどころか、毎年着実に増加を続けている。モンサント、シンジェンタ、デュポンといった企業は干ばつに強い品種の開発に莫大な資金を投じ、全体の収穫量は実際に干ばつの状況であっても(2012年の大干ばつは例外だが)向上してきている。

 しかし、カリフォルニア州にあるスタンフォード大学のデイビッド・ロベル(David Lobell)氏らは、収穫量の増加要因の大部分は、干ばつ耐性ではなく植密度を高くできるよう遺伝的に改良されたことにあることを明らかにした。アメリカのトウモロコシ生産地帯「コーンベルト」の典型的な農家では現在、1エーカー(約4047平方メートル)あたり3万株のトウモロコシを栽培している。1990年代には、1エーカーあたり2万4000株だった。

「干ばつに強くなったというマーケティングの言葉がそこら中で聞かれるが、実際にはより弱くなりつつあることがデータによって示された」とロベル氏は語っている。

◆不穏な傾向

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最近の報告では、気候変動によって小麦やトウモロコシなど世界の穀物収穫量には、すでにプラスよりもマイナスの影響が出ていると結論づけられている。トウモロコシは、重量基準で世界最大の生産量を誇る穀物だ。その3分の1以上、全輸出量の半分はアメリカ中西部で生産されている。

 ロベル氏のチームは、コーンベルトに含まれる州において1995年から2012年まで、畑単位の収穫量と天候データを解析した。それぞれの畑で各年に受けた環境ストレスを計算したところ、最も大きなストレスの予測因子は、植物内部と外気との湿度の差を表す“水蒸気圧不足量(VPD)”であることが分かった。植物が光合成に必要な二酸化炭素を吸収する際に植物から大気中へ水分が失われる速さは、このVPDによって決まる。

 全体としての収穫量は1995年以降増加し続けているが、今回の研究でVPDが高い畑では収穫量の伸びはかなり小さくなっていることが明らかになった。これは、時が経つにつれ干ばつに強くなるどころか、トウモロコシの収穫量が干ばつの影響を受けやすくなってきたことを示している。

 干ばつの影響を受けやすくなった原因として最も可能性が高いのは、収穫量を増加させるため極限まで植密度を高めたことだとロベル氏は述べている。植物の株数が増えれば一般的に収穫量は増加するが、同時に植物個体あたりの土壌、日照、水分は不足することになる。

 いずれにせよ、VPDの影響をより受けやすくなることは将来的に良い兆候とは言えない。VPDは気温とともに上昇している。気候モデルによると、コーンベルトにおける7月、つまりトウモロコシが最も影響を受けやすい時期のVPDは、今後50年で20%上昇するおそれがあると予測されている。ロベル氏らの計算では、新しいトウモロコシの品種や農業技術が出現してこの傾向を埋め合わすことができるようにでもならない限り、収穫量は15~30%減少すると考えられている。

 今回の研究結果は、「Science」誌2014年5月2日号で報告された。

PHOTOGRAPH BY JOHN STANMEYER VII / NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Joel K. Bourne, Jr.

  • このエントリーをはてなブックマークに追加