竜巻、なぜアメリカだけで多発?

2014.04.30
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
竜巻が発生したアメリカ中南部。発達した雲が壊滅的な被害をもたらしながら東に移動する様子を、米国海洋大気庁(NOAA)の静止衛星「GOES-East」が撮影(協定世界時(UTC)28日13時1分)。

PHOTOGRAPH BY NASA/NOAA GOES PROJECT
 竜巻について想像するアメリカ人は、カンザスやオクラホマといったグレートプレーンズを破壊しながら通過する姿を思い浮かべるという。しかし実際は、東部の広範囲に壊滅的な被害をもたらしている。 4月27日から28日にかけて竜巻が立て続けに発生し、30人以上の死亡が確認されているアメリカでは、アーカンソー、カンザス、ミシシッピ、アラバマ、テネシーなど各州が大混乱に陥っている。しかし今回は、竜巻の強度、場所、死者数のどれをとっても、決して並外れた規模ではない。

 オクラホマ州ノーマンにある米国海洋大気庁(NOAA)国立シビアストーム研究所(National Severe Storm Laboratory)の上級研究員ハロルド・ブルックス(Harold Brooks)氏は、「ロッキー山脈の東であれば、どこで竜巻が起きてもおかしくない」と話す。

 ブルックス氏に言わせれば、ここ数日は「異様なパターンとは言えない。よくある自然災害と並ぶ」気象だという。

 ブルックス氏の見立てでは、27日の竜巻は年に10~15日程度、28日の嵐は通常3~4日ほど観測される規模に収まっている。

 アメリカ東部の大部分には、29日も気象警報が発令された。

◆竜巻の強さ、方向

 また、西から東に移動する嵐も典型的だと、ブルックス氏は言い添えている。「ほぼすべての竜巻が西から東に移動する。上空の風はたいてい西側から吹き付けるためだ。竜巻もその影響を受けている」。

 アメリカ国立気象局(NWS)は、数日中に竜巻スケールの速報値を発表するが、確定するのは2カ月後の月末、つまり6月末だ。

 ブルックス氏の予想では、アーカンソー州中部のフォークナー郡を直撃し、メイフラワーとビローニアの町で計11人が犠牲になった竜巻は、改良藤田(EF)スケールの「EF4」に分類される可能性があるが、おそらく最大級のEF5には達しない規模だという。

 南極を除くすべての大陸で竜巻は観測されている。NOAAの報告によれば、アメリカを直撃するケースは年間1200件前後だという。世界中で確認されている竜巻の約75%がアメリカで発生しているが、多くの国では十分に追跡されていないだけだという指摘もある。

 アメリカで最も被害を受けている地域「竜巻街道」は、オクラホマやカンザス、ネブラスカ、ノースダコタ、サウスダコタといったグレートプレーンズの州からテキサス州の一部にまたがる。メキシコ湾の湿った空気が南西から吹く乾いた空気とぶつかるため、強力な竜巻が発生しやすいのだ。

 ブルックス氏は、「ロサンゼルス盆地の一部は例外だが、ロッキー山脈の西ではあまり発生しない」と話す。

 しかし、大部分の州では、強い竜巻が起きてもおかしくない。

 アメリカ気象学会(American Meteorological Society)によれば、1平方キロあたりの発生件数が最も多い州はフロリダで、インディアナ、イリノイ、アイオワ、ルイジアナが続くという。ただし、フロリダやルイジアナで観測される大部分のケースは水上で発生する竜巻で、規模も被害も小さい。

◆竜巻の季節は?

 いつどこで発生しても不思議ではない竜巻だが、最も多いのは春、特に5~6月だ。一方、冬の冷たい空気はエネルギー量が限られ、最も発生しにくい。

 今年は、つい先日まで竜巻の数が特に少なかった。東部の大部分で空気が比較的冷たく、西部が例年より暖かかったため、雷雨が発生しにくい条件だったと、ブルックス氏は説明する。

 ブルックス氏によれば、竜巻シーズンを早い時期に予報するのは不可能だという。また、「数時間ならともかく数日前の予測は困難で、的中率は実用レベルに達していない」とコメントしている。

PHOTOGRAPH BY NASA/NOAA GOES PROJECT

文=Brian Clark Howard

  • このエントリーをはてなブックマークに追加