交尾前にオスを食べるコモリグモのメス

2014.04.30
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巣の入り口にいるコモリグモ。オーストラリアで撮影。

Photograph by Brooke Whatnall / National Geographic
 タランチュラコモリグモ(学名:Lycosa Hispanica)の中には、交尾に至る前に相手のオスを食べてしまう気性の荒いメスがいることが、最近の研究で分かった。 多くのクモにとって、交尾というのは危険を伴う行為である。行為中に敵に襲われる可能性が高く、交尾が終わるとメスがオスを食べてしまうこともある。しかしオスのほうは、次の世代へ自分の遺伝子を残すために喜んで犠牲になることが多い。

 ところが最新の研究によると、オスにとってさらに不幸なことに、交尾を待たずしてオスをおやつにしてしまうメスもいるというだ。交尾前性的共食い行動と呼ばれるこの習性は、タランチュラコモリグモを含めたクモ全体の10~15%の種にみられるという。

 動物は、個体によって性格が異なり、それが交尾相手の選び方に影響するというのは既に知られているが、マドリードにあるスペイン科学研究高等会議の生態学者で、今回の研究の上席著者であるジョルディ・モーヤ・ララーニョ(Jordi Moya-Larano)氏によると、気性の激しいメスグモはおとなしいメスよりも多くのオスを襲う傾向にあるという。

 生殖の機会を得る前にオスを食べてしまうとは、一見あまり賢いデート戦略には思えないが、ある一定の条件下ではそれほど無意味な行為でもなさそうだ。

◆獰猛なメスの早い成長

 モーヤ・ララーニョ氏と、スペイン南部のアルメリアにある乾燥地帯実験所(EEZA)のルーベン・ラバネダ・ブエノ(Ruben Rabaneda-Bueno)氏は、何がメスグモをこのような行動にかりたてているのかを調査するため、他の実験に使われたタランチュラコモリグモを観察することにした。

 野生環境における調査研究で、一部のメスが他のメスよりも獰猛であることは既に分かっている。獰猛なメスはオスに対してもその性格を発揮するのだろうか。それを調べるために、アルメリアの実験所付近で処女のコモリグモ数匹を捕らえ、生きたゴミムシダマシとワラジムシを与え、どれくらいの量を食べるのかを観察した。

 捕食した量で獰猛さを測った結果、獰猛と判断されたメスはそうでないメスに比べてより多くの虫を食べ、成長も早かった。また、交尾の適齢期に達するのも早かった。

◆保たれるバランス

 次に、それぞれのメスに一匹ずつオスグモを与えてみた。

 獰猛でないメスは、オスと交尾するものと、交尾前にオスを攻撃し捕食してしまうものがいた。そのデータを分析した結果、獰猛でないメスは、交尾相手として理想的でないと判断したオスだけを選んで捕食していることが分かった。一方獰猛なメスは、相手がどんなオスであろうと全てたいらげていた。

 この結果によって、獰猛なメスはオスに対しても攻撃的であるという仮説が裏付けられたと、モーヤ・ララーニョ氏は言う。

「繁殖期が始まったばかりの頃は、多くのオスがいる。獰猛なメスは交尾の適齢期に達するのが早いため、オスをたくさん食べても困らないのだろう。後で交尾相手を見つける機会はいくらでもあるからだ」。

 今回の研究結果は「Ethology」誌3月号に発表された。

Photograph by Brooke Whatnall / National Geographic

文=Carrie Arnold

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