南スーダン、深刻な食糧不足危機

2014.04.21
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南スーダン、ミンカーメンの診療所で順番を待つ親子(1月10日撮影)。

PHOTOGRAPH BY PHIL MOORE
 世界で最も新しい国、南スーダンがいま、極めて深刻な食糧不足の危機に瀕している。 国連の推定では、大雨季が始まる5月までに作物の植え付けが終わらなければ、国内人口の約3分の1にあたる 1100万人が飢餓に見舞われ、5万人近くの子どもが犠牲になるとみられている。これは、過去30年間の食糧不足 の中でも最も深刻な事態である。

 2013年12月のクーデター未遂事件発生以来、南スーダンでは政治勢力が分裂状態に陥り、国中に暴力が蔓延し ている。殺害された住民は1万人を超え、数十万人が国外への脱出を余儀なくされた。これでは、作付け時期が 到来しても植え付けができる状態ではない。

「われわれは現在、多くの問題に取り組んでいる」。そう話すのは、国連南スーダン共和国ミッション (UNMISS)事務総長特別副代表のトビー・ランザー(Toby Lanzer)氏。

「事態の規模、深刻さ、残忍さが、海辺に襲いかかる津波のようにこの国を圧倒してしまった」。

 ランザー氏によると、食糧不足が現実になるかどうかは、5月末までの情勢次第だという。「まさに試練の時 だ」。

◆武力抗争が引き起こす食糧不足

 南スーダンでは、国内に流通する食糧の大半が、最も激しい戦闘地域であるジョングレイ、上ナイル、ユニテ ィの3州で生産されている。

 特に穀倉地帯の上ナイル州は、アフリカで広く栽培されている乾燥に強い穀物モロコシ(ソルガム)の主要産 地だ。同州では、戦闘を逃れた各地からの難民がナイル川の両岸に殺到している。

 現在は、周辺での狩りや漁、湿地帯に自生するスイレンの球根を採集して何とか飢えを凌いでいる状態だ。だ が、5月の雨期に川が氾濫すれば暮らしが成り立たず、また別の土地への移動を迫られる。

 一方、暴力から逃れるため、土地を見捨てる農民も少なくない。踏みとどまっている農家もあるが、多くはい つ戦闘に巻き込まれるかわからないという恐れから、なかなか作物の植え付けをする心境にはならないようだ。

「作付けを行わなければ、収穫はゼロになる。飢餓状態一歩手前の300万~400万人を救うために、国際社会は一 刻も早く行動を起こすべきだ」とランザー氏は語る。

 国連世界食糧計画(WFP)は食糧の空中投下を計画中で、ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)も、水を運 ぶプラスチック製バケツや蚊帳、浄水錠剤など生活必需品を詰め込んだパッケージの準備を検討している。

 さらに世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は、到達困難地域の中でも特に深刻な状況な地域に対 して、6~8名程度の小編成チームの空路派遣を既に開始している。

◆事態の行方は依然不透明

 実際の食糧不足の影響は、作物の収穫が滞る冬以降の深刻化が予想されている。対応を迫られている国連は、 まず作付けが順調に行われている地域を6月に評価する計画だ。

 一方、戦火の被害が3州より少なかった西エクアトリア州などでは、作物の植え付けが既に行われているよう だ。しかし、その恩恵にあずかるのは周辺地域のみで、国全体への波及効果は期待できないだろう。「市場が未 発達で、他の州に出荷する手段がない」とランザー氏は現状を嘆く。

 食糧不足の回避に向けて緊急支援が求められる中、政府勢力と反政府勢力はともに活動中の国連、NPOに対 し、さらなる暴力と非難で応じる始末だ。

 UNMISSの報道官ジョゼフ・コントレーラス(Joseph Contreras)氏は、「われわれは随分ひどい目にあってい る。拳銃を突きつけられるような事態も希ではない」と語る。暴力的な行為は収まりつつあるが、深刻な事態が かえって両勢力を問題解決から遠ざける結果を招いているのは不幸としか言いようがない。

 コントレーラス氏によれば、UNMISSのスタッフは現在、両者の話し合いを見守りながら妥協点を見出すよう促 しているという。

「武力抗争は依然として続いている。両勢力が交渉の席に着くかどうかは今もって不透明な状況だ」。

PHOTOGRAPH BY PHIL MOORE

文=Scott Johnson

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