他種の幼生に擬態、新種サンショウウオ

2014.04.21
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ウォシタ・ストリームベッド・サラマンダーの雌の成体(下)と近縁種メニーリブド・サラマンダーの幼生 (上)。

Photograph by Michael A. Steffen
 最近発見されたサンショウウオ、英名:ウォシタ・ストリームベッド・サラマンダー(Ouachita streambed salamander、学名Eurycea subfluvicola)は、外から見ると近縁種のメニーリブド・サラマンダー(many-ribbed salamander、学名Eurycea multiplicata)の幼生だ。しかし、この“驚くべき”両生類の中身は明らかに成体で、完全に発達した生殖器を持つという。 この新種は近縁種メニーリブド・サラマンダーに比べると、頭が縦横に短く、鼻は平らで長く、目がくぼんで いる。そして、「Zootaxa」誌に4月11日付で発表された研究論文によれば、最も顕著な違いは、近縁種の頭から 鼻まで伸びるトレードマークの黒いしま模様がないことだ。

 この新種を最初に発見したのはアメリカ、オクラホマ州タルサ大学の博士課程で生物学を研究するマイク・ス テフェン(Mike Steffen)氏。どのような動物でも、“同じ岩の下で”新種と最も近い種を一緒に見つけるのは 極めて珍しいと振り返っている。

◆幼生を装う

 2011年5月23日、ステフェン氏は山の小川でメニーリブド・サラマンダーを集めていた。成体の数が足りなか ったため、幼生も何匹か捕まえた。

 研究室に戻ると、幼生を解剖し、遺伝子検査を行った。成長中の卵を持つ個体が1匹いたが、「何かの異常だ ろう」と気にも留めなかった。

 ところが、検査の結果を見ると、“全く違う”個体が1匹含まれていた。何かの間違いだと思いながらも、フ ィールドノートを見直してみると、全く違う個体は卵を持っていた個体だと判明した。つまり、何かの異常では なく、この個体は幼生を装う成体だったのだ。

 ステフェン氏はアーカンソー州狩猟漁猟委員会(Arkansas Game and Fish Commission)のケリー・アーウィ ン(Kelly Irwin)氏とともに、この奇妙な動物の遺伝子配列をさらに調べてみた。やはり結果は同じだった。 この個体は幼形進化した新種のサラマンダーだったのだ。

 ただし、新種であることを確認するには新たな試料を見つける必要がある。結局、2年を費やすことになっ た。

◆確証を得るために

 2012年の春は例年より空気が乾燥しており、サラマンダーにとっては良い環境ではなかった。ステフェン氏は 条件に合う個体を見つけることができなかった。そのため、何かの間違いだったのではないかという気持ちが再 び頭をもたげてきた。そして2013年、2月にしては珍しく暖かい日に、ステフェン氏とアーウィン氏は2011年の 個体とそっくりのサラマンダーを発見した。1カ月後、ステフェン氏はさらに数匹を捕まえた。

「腹部が透けているため、少し動かせば生殖器を見つけることができる」とステフェン氏は説明する。若く見え る個体には成熟した精巣があり、同じ種だということがわかった。

 ステフェン氏はさらに24匹を集めて検査し、新種であるという確証を得た。

 ウォシタ・ストリームベッド・サラマンダーが幼生の姿を保つよう進化した理由はまだわかっていない。ステ フェン氏らが考えているのは、幼生でなければ到達できない川床の狭い場所に入るため、近縁種との交雑を防ぐ ためといった理由だ。

 ステフェン氏らは遺伝子研究の結果から、ウォシタ・ストリームベッド・サラマンダーは約1800万年前にメニ ーリブド・サラマンダーから分かれたと推測している。

Photograph by Michael A. Steffen

文=Danielle Elliot

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