チョウの羽、食事制限で小さく色あせる

2014.04.18
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上は、エサを食べ続けたオオカバマダラ。エサを制限された下のオオカバマダラは、羽が小さく色もわずかに薄い。

Photograph by Andrew Davis
 オオカバマダラの鮮明な色彩は、幼虫の時の適切な食事に起因するものだった。たった24時間エサを食べないだけで、羽の色が黄色から赤色に近い範囲で著しく色あせることが新しい実験によって証明されたと、ジョージア州アセンズにあるジョージア大学の生態学者で研究リーダーのアンドリュー・デービス(Andrew Davis)氏は述べている。 さらに、幼虫時のエサの欠乏によって羽が小さくなり、5千キロの移動に長い時間を要することも明らかとなった。

 毎年秋になると、数百万匹のオオカバマダラが北アメリカのカナダ南部を旅立って南西方向に南下し、途中繁殖のため数カ所に留まり、最終的にメキシコのミチョアカン州とメヒコ州にまたがる森に辿り着く。この長距離の旅は実に5世代にも及ぶ。メキシコで越冬した後、新しい世代のチョウは再びアメリカとカナダの国境付近を目指して北上する。

 最近の報告によると、記録が始まった1993年以来、メキシコでのオオカバマダラのコロニーが現在最も小さい面積となっており、この良く知られた長く困難な旅は“大きな危機”に瀕しているようだ。かつては北アメリカ一帯の至る所に分布していたトウワタが、農地拡大と開発に伴って広く失われていることが一因にある。

 成虫のオオカバマダラはトウワタにのみ卵を産み付ける。孵化した幼虫はさなぎからチョウになるまでトウワタを食べて過ごす。しかし、幼虫が十分なトウワタにありつけなくなると問題が生じる。

 ワシントンD.C.にある国家資源防衛審議会(National Resources Defense Council)のシニア研究員シルビア・ファロン(Sylvia Fallon)氏は、「この研究は野外ではなく研究室で行われたものだが、トウワタの消失がオオカバマダラの移動に影響を与えていることは十分にあり得る」と語った。ファロン氏はこの研究に関わっていない。

◆羽の大きさ

 デービス氏と同僚らは、以前から他種のチョウで、幼虫時にエサを制限すると羽の色と大きさに影響が出ることがわかっていた。

 オオカバマダラにも同じような影響があるかどうかを突き止めるため、チームは実験室で幼虫を3つのグループに分けた。あるグループは24時間、もう1つのグループは48時間エサを与えられなかった。対照グループとして3つ目のグループには、常時エサが与えられた。そして、すべての幼虫がチョウになるまで育てられた。

 24時間エサを与えられなかった幼虫は、対照グループよりも羽が小さいことが実験結果によって明らかとなった。予測通り、48時間エサがなかったグループの羽は、24時間のグループよりもさらに一回り小さかった。

 わずかなサイズの減少が、数千キロにおよぶ移動に大きな遅れを生じるとデービス氏は指摘する。

 例えば、最も大きな羽を持つチョウは、秋の移動で南下する際群れを率いる傾向にある。また、メキシコに一番早く到着するチョウは、群れのそのほかの個体よりも1~2%程度長い羽を持つことが知られている。

◆色の薄さ

 さらに、デービス氏らはオオカバマダラの羽の色をスキャンした後、Photoshopで色調と彩度を分析した。

 24時間エサがなかったチョウの羽は、ほかの2グループのものより薄いオレンジ色をしていた。この色の変化は統計的に見て重要であるようだ。

 一方、48時間エサがなかったチョウの羽は色あせなかった。デービス氏のチームは、今後この結果について調査する予定だ。

「それは、チョウが通常羽の成長に費やすエネルギーを色の生成に使ったためと、われわれは推測している」。

 研究結果は、「PLOS ONE」誌オンライン版に4月2日付で発表された。

Photograph by Andrew Davis

文=Carrie Arnold

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