プラスチックの袋や牛乳の容器が浮く中、オニイトマキエイやアオウミガメが餌を食べている。オアフ島でも評価が高い砂浜の沖で撮影。

PHOTOGRAPH BY JOHN JOHNSON / ONEBREATHPHOTO.COM
 スクリップス海洋研究所の元所長トニー・ヘイメット(Tony Haymet)氏は、海をきれいにする計画を数え切れないほど聞かされてきた。夜半ビールを飲みながら、自分で考えた計画も数十ある。しかし、有望だと思われるものは一つもないという。 これはかなりの難題だ。まず、海のゴミは数百万平方キロの範囲に散らばっている。次に、ゴミの大部分は日光や波によって分解したプラスチックで、米粒ほどの大きさになっている。

 しかし、ゴミは増え続けている。

 3年にわたって海洋ゴミを調査してきたオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1つの憂慮すべき統計データを示している。全世界のプラスチックの生産量は10年ごとに倍増している、というデータだ。たとえ誰かが有効な回収方法を思い付いたとしても、一体どれほどの効果を上げることができるだろう?

 CSIROの生態学者クリス・ウィルコックス(Chris Wilcox)氏は、「海に捨てられるものが10年ごとに倍増しているのであれば、いつまでたってもそのペースに追い付くことはできない」と話す。

◆ゴミが集まる区画

 海洋ゴミのほとんどは大西洋、太平洋、インド洋の無風帯のあまり調査されていない5つの“区画”に集まっている。

 最も大きな区画は太平洋ゴミベルトで、北アメリカの数百キロ沖から日本の数百キロ沖までつながっている。ゴミが集中しているのはアメリカ、カリフォルニア州とハワイ州の間にある区画だ。

 太平洋ゴミベルトの中でもゴミが多い場所には1平方キロ当たり48万個のプラスチック片があるとよく言われる。

 1990年代に太平洋ゴミベルトを“発見”したチャールズ・ムーア(Charles Moore)氏は、5つの区画を合わせると2億トンのゴミが浮遊していると見積もっている。この数字は、全世界のプラスチックの2.5%が海にたどり着くという計算に基づく。

 一方、海洋科学者マーカス・エリクセン(Marcus Eriksen)氏は50万トンと試算している。エリクセン氏はカリフォルニア州を拠点に5つの区画を調査する組織5ジャイルズ(5 Gyres)の立ち上げにかかわっている。

 いずれにせよ、魚などの海洋生物の被害は拡大している。スクリップス海洋研究所が2009年に太平洋ゴミベルトを調査したところ、9%の魚がプラスチックを飲み込んでいた。エリクセン氏も最近、5つの区画すべての分析を行ったが、捕まえた魚671匹の35%がプラスチック片を摂取していた。

◆有効な対策は?

 それでも、ヘイメット氏をはじめとする海洋科学者たちはあきらめていない。ヘイメット氏らが支持しているのはローテクで現実的な解決策、具体的には、ゴミを捨てないよう世界中の人々を説得するという方法だ。

 海を漂うプラスチックのうち、捨てられた漁具や事故に遭った貨物船など、海からやって来るものはわずか20%ほどだ。最も包括的だと評価されているCSIROの調査によれば、約80%が海岸に捨てられたゴミか川を下って流れ着いたゴミだという。

 そのうち約半分はペットボトル、残りのほとんどがプラスチック容器だ。

 ウィルコックス氏は、「すべて一度は人の手に渡ったものだ」と指摘する。「解決策の核心にあるべきものは、こうしたものを捨てない動機を人々に与えることだ。最もシンプルで費用が掛からず、何より最も効率的に問題を解決できる」。

 ただし、ゴミを減らすためのインセンティブを設定する場合、政治的な課題に直面する可能性がある。CSIROの調査を行ったブリタ・デニス・ハーデスティ(Britta Denise Hardesty)氏によれば、オーストラリアにある8つの州と準州のうち、飲料容器の預託金の法律が整備されているのは1州だけだという。

 アメリカでも同様の法律があるのはカリフォルニア、メイン、マサチューセッツ、コネティカットなど10州のみだ。こうした法律は世論調査では支持されているが、飲料メーカーが異議を唱えている。預託金の制度はほかのリサイクルの方法より費用が掛かる上、預託金は税金に相当するため、飲料の価格が上がるという主張だ。

 ウィルコックス氏は、「気候変動について考えた場合、カーボンフットプリントを減らすのは難しい。経済を根本から変える必要があるためだ」と話す。「一方、プラスチックの場合、ボトルのふたを地面に投げ捨てる習慣は簡単にやめられるはずだ」。

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文=Laura Parker