古代のザトウムシには眼が4つあった

2014.04.14
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3億500万年前にさかのぼるザトウムシ(学名:Hastocularis argus)の化石の高解像度X線画像。

Photograph courtesy of the National Museum of Natural History, France
 フランスで発掘された3億500万年前の化石を分析した結果、当時のザトウムシには眼が2つ余分にあったことが明らかとなった。 また、クモの多くは眼が8つ以上あるが、現在のザトウムシには眼が2つしかない。

 ところが、ニューヨーク市にあるアメリカ自然史博物館とイギリスのマンチェスター大学の研究者らが高度な X線技術で化石をスキャンしたところ、眼が2つではなく4つあったことが判明した。

 もろい外骨格が長い年月に耐えることは難しく、ザトウムシのように極めて小さい節足動物の化石を無傷の状 態で発見するのは至難の業だ。

 マンチェスター大学の古生物学者で研究を率いたラッセル・ガーウッド(Russell Garwood)氏によると、化 石を覆う堆積物が「圧縮されて岩になる前、菱鉄鉱(りょうてっこう)と呼ばれる炭酸鉄が化石の周りに凝集 し、団塊を作り出した」という。

「おかげでザトウムシが岩に押しつぶされることはなく、中の化石が朽ちて立体的な空洞が残った」。

◆目を見張る発見

 研究の結果、違いは眼の配置にもあることがわかった。現代のザトウムシの眼は、中央(体の中心付近)また は側部(体の側面)のどちらかにある。

 今回の化石には、中央と側部の両方に眼があった。

 遺伝子解析も行われた結果、現代のザトウムシは、失われた眼の位置に使われていない “眼柄発生”遺伝子 を有することが明らかとなり、進化の過程で徐々に眼を失ったことをうかがわせる。

「Current Biology」誌オンライン版に4月10日付で研究を発表したガーウッド氏は、「クモ綱に属する生物の眼 は概して変化しやすく、分類群によって眼を失ったり、大きく変化させたりすることが珍しくない」と述べる。

 なぜザトウムシが眼を失ったのかは不明だが、クモは視覚を頼りに獲物を追うことから多くの眼を保持したと 考えられている。一方、ザトウムシは林床で腐りかけた植物や動物をあさることが多い。

 ガーウッド氏によれば、新たな発見はクモ網の眼の発生における遺伝的特徴を理解するのに役立つほか、進化 にまつわる他のミステリーにヒントを与えるものだという。

「今回の研究では、進化発生学と化石、進化生物学を組み合わせることで、生物の不可解な特徴を説明できるこ とを示せたと思う」。

Photograph courtesy of the National Museum of Natural History, France

文=Stefan Sirucek

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