温暖化が生育を阻む農産物5種

2014.04.07
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牛は涼しい気候を好むため、牛乳は温暖化の影響を受ける農産物の一つに数えられる。

PHOTOGRAPH BY RUS BOWDEN, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による新たな報告書によれば、すでに世界各地の農園や牧場、果樹園が気候変動の打撃を受けている。より温暖な気候を好む農産物もあるとはいえ、大規模な作物被害や収穫量の減少、食品価格の高騰といったマイナスの影響は、プラスをはるかにしのぐという。 報告書の予測では、トウモロコシや小麦、米を含む主要農作物の収穫量は2030年までに減り始め、10年ごとの 減少率は最大2%に上る。

 ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学の気候変動農業研究所(Institute for Climate Change and Agriculture)で委員を務める同大学の園芸学教授デイビッド・ウルフ(David Wolfe)氏は、すぐに姿を消す作 物はないだろうと話す。しかし同氏は、近いうちに農家が大規模な干ばつや夏の暑さ、突然の霜、刻々と変化す る生育期に対処する抜本的かつ高額な措置を講じる必要に迫られると予測している。「緩やかな温暖化のように 単純な話であればそれに合わせた栽培ができる」とウルフ氏。「しかし、地球規模の実験が進むにつれ、農家は かつて見たことのない現象を目の当たりにしている」。

 それでは、気候変動によって生育が特に難しくなる5種の農産物を見てみよう。

◆ 1. アボカド

 ウルフ氏は、干ばつや暑さが乾燥した中部カリフォルニアなどの果樹園を脅かす可能性を指摘する。「アボカ ドはカリフォルニア農業にとっての脅威を象徴する作物になるだろう」と同氏。「現在の干ばつが数年後に終わ ったとしても、カリフォルニアでの水問題は深刻化すると予想される」。

◆ 2. アーモンド

 ウルフ氏の説明によれば、アーモンドの木はその他多くの果樹や堅果樹と同様、春に花やつぼみをつけるため には摂氏約7度を下回る長い冬を必要とする。カリフォルニアのアーモンド栽培地域は、現状でもかろうじて十 分な寒さが得られている程度。したがって、冬の温暖化が少しでも進めば閉鎖を余儀なくされる果樹園が出てく るかもしれないという。

◆ 3. ブドウ

 夏の気温の急上昇は繊細なブドウに大打撃を与えるため、ナパ・バレーをはじめとする各地のワイン醸造業者 はひやひやさせられるかもしれない。「ワインは今後も長い間製造できるはずだ」とウルフ氏。「しかし、海外 の良質なワインに匹敵するものを作るのは難しくなるだろう」。

◆ 4. 牛乳

「牛は涼しい気候を好む」とウルフ氏は話す。「牛乳の生産に適した気温は摂氏約4~21度だが、エアコンを設 置する余裕のある酪農家は少ない。牛乳が姿を消すことはないが、涼しい地域から輸送する必要が出てくるかも しれない」。

◆ 5. 木に成るリンゴやサクランボなど

 アイオワ州エイムズにある米国農務省の国立農業環境研究所(National Laboratory for Agriculture and the Environment)で研究所長を務めるジェリー・ハットフィールド(Jerry Hatfield)氏によれば、気候変動 によってリンゴやサクランボを含む多数の果樹が枯らし霜の影響を特に受けやすくなっているという。2012年に はニューヨーク州北部のリンゴの木が平年より3~4週間早く開花し、その後3月下旬の急な寒波に襲われた。そ の結果、収穫価格は州全体で前年を約2.5億米ドル下回った。また、ミシガン州でも2012年4月に霜が降り、平年 より早く開花していたタルトチェリーがほぼ壊滅状態となった。

PHOTOGRAPH BY RUS BOWDEN, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT

文=Chris Woolston

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