超希少なスマトラサイ、動物園で死亡

2014.04.04
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絶滅危惧IA類(絶滅寸前)に指定されているスマトラサイのスシ。ナショナル ジオグラフィックのカメラマン、ジョエル・サートレイ氏が2013年にシンシナティ動物園で撮影した。

Photograph by Joel Sartore
 アメリカのシンシナティ動物園で飼育されていたスマトラサイのスシ(Suci)が3月30日に死亡した。絶滅危惧種であるスマトラサイにとって、スシの死は“大きな打撃”だと同園職員は話す。 スマトラサイはサイ科のなかでも特に希少とされ、野生の生息数はわずか100頭ほど。そのほとんどがインドネシアのスマトラ島に生息している。世界で最も絶滅が危ぶまれている動物のひとつと言えるだろう。

 森林伐採やヤシ油プランテーション開発に伴う生息地の消失、さらには漢方薬の原料となるツノを目的とした密猟により、スマトラサイは絶滅の危機に瀕している。

 シンシナティ動物園は、スマトラサイの人工飼育に成功した世界で初めての施設である。同園では、スマトラサイを絶滅の危機から救おうと、25年前からインドネシアの団体と協力して取り組んでいる。

 スシ(享年10歳)が死に、飼育されているスマトラサイの数は全世界でわずか9頭となった。世界自然保護基金(WWF)によれば、飼育下にあるスマトラサイの寿命は35~40年ほどだという。

 スシは、ヘモクロマトーシスという体内に鉄が過剰に蓄積される遺伝性の疾患を抱えており、シンシナティ動物園では数カ月前から治療を続けていた。しかし、30日になって病状が急激に悪化したという。スシの母親のエミ(Emi)は、2009年にやはりヘモクロマトーシスが原因で死亡している。

「スシは絶滅の危機に瀕しているスマトラサイの希望のシンボルだった。彼女がいなくなった今、皆の心にぽっかりと大きな穴が開くことになるだろう」と、シンシナティ動物園リンドナー絶滅危惧野生動物保護研究センター(Lindner Center for Conservation and Research of Endangered Wildlife)の所長、テリー・ロス(Terri Roth)氏は話す。

「国際社会は困難な課題に直面している」とロス氏は言う。「迅速果敢に行動しなければ、スマトラサイの絶滅は避けられない。現代の私達にとって大きな悲劇となるだろう」。

◆“絶滅はこうして起こる”

 ナショナル ジオグラフィックのカメラマンであるジョエル・サートレイ(Joel Sartore)氏は、スシが赤ん坊のころからその姿を写真に収めてきた。サートレイ氏は、「スシが死んでとても悲しい」と話す。

「絶滅はこうして起こるんだ」とサートレイ氏は言う。「生息数が減ると、1個体の死が致命的なものとなる」。

「個体数を守るための手段がほとんどないなか、シンシナティ動物園はスマトラサイの保護に向けてすばらしい貢献をしたと思う」。

 サートレイ氏は、動物園で飼育されている絶滅危惧種の写真を撮影し、それを保護活動に役立てるというフォト・アーク(Photo Ark)プロジェクトを主催しており、そのなかでスシを取り上げている。

「絶滅危惧種の動物をあらゆるものから守ってやれるわけじゃないことを、スシの死は教えてくれている」とサートレイ氏は言う。

 同氏は在りし日のスシを振り返り、温厚で優しい“チャーミングな子”だったと話している。「餌を差し出せば、決まって近寄ってきてくれたよ」。

Photograph by Joel Sartore

文=Christine Dell'Amore

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