サンショウウオ、温暖化で小型化か

2014.03.28
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このほど行われた研究によれば、アパラチア山脈のサンショウウオが小型化しているという。ノースカロライナ州で見られるヨナロッシーサンショウウオ(Yonahlossee salamander)もその1つだ。

PHOTOGRAPH BY VISUALS UNLIMITED, CORBIS
 気候変動による温度の上昇が、一部の動物で体長の変化を引き起こしている可能性があるとの研究結果が発表された。「Global Change Biology」誌に3月25日付で掲載された研究によれば、アメリカで温暖化と乾燥が進んでいる地域の野生サンショウウオが、過去50年あまりにわたって小型化しているという。「この成果は、気候変動の動物に対する潜在的役割についての興味深い問題提起だ」と話すのは、ロヨラ大学シカゴ校の生態学者で今回の研究には関わっていない、ジョゼフ・ミラノビッチ(Joseph Milanovich)氏だ。気候変動が動物の体長にどう影響するのかという問題に取り組んだ研究は、これまであまり行われていない。ミラノビッチ氏は、「今回の研究には、この分野を前進させる独自の価値が確実にある」と評価する。

 実際には、この研究は気候変動に関係するプロジェクトとして始まったわけではなかった。メリーランド大学カレッジパーク校の生物学者カレン・リップス(Karen Lips)氏によれば、彼女の研究チームは、サンショウウオの個体数がこの数十年で減少している理由を解明しようとしていたのだ。

 リップス氏のチームは2011年夏から2012年春にかけて、さまざまな種のサンショウウオをアパラチア山脈の80近くの地点で捕獲。環境要因、つまり病気によってサンショウウオの数が減っているのかどうかを見極めようとした。ところが予想に反して、病気は原因ではなかった。

 そこで研究チームは、気候変動が原因かもしれないと考えた。それまで気候の影響は検証していなかった。

 リップス氏は、「可能性があるかどうかだけでも知るには何を計測すればいいのか、みんなで考えた」と振り返る。

◆気温上昇と乾燥

 これまで科学の世界では、気候変動がもたらす温暖化と、一緒に起こり得る乾燥化という状況にうまく対応するため、野生生物は体の大きさを変化させていると考えられていた。そこでリップス氏らは、自分たちが採集した標本と、同じ地域で1957年以後に採集され博物館に保管されている標本の体長を比較。合計10種以上、9000を超すサンショウウオの標本を分析した。

 その結果、1950年代から2012年にかけ、6種のサンショウウオが小型化していることが判明。大型化は1種でわずかに見られただけだった。1980年以降に採集されたサンショウウオは、それ以前のものよりも平均8%小さく、1世代ごとに1%ずつ小さくなっていた。

 さらに、小型化の傾向は調査地域のうち最南端の地点で捕獲されたサンショウウオで最も著しかった。この地点は温度上昇幅が最大で、降水量の減少幅も他の地域より大きかった。リップス氏は、「驚いた。全く予想もしなかった領域で興味深い結果が得られたことに心が躍った」と話す。

 どのような生物学的プロセスがサンショウウオの小型化を促すのか、研究チームはまだ突き止められていない。体の大きな個体が死に絶えたか、小さな個体に比べて子孫を残しにくくなった可能性がある。

 あるいは、体長の変化は「可塑性」によるものかもしれない。体内の温度調節機能のように、環境の変化に反応して自身の生物学的特徴を調整する生物の能力だ。研究チームは、高温または乾燥状態が遺伝子活性や他の生物学的プロセスを変化させ、サンショウウオの成長を妨げたのか否かを考えている。サンショウウオにとって気候変動が最終的に何を意味するかも、まだ不透明だ。

◆未解明の謎に挑む

 リップス氏によれば、同氏のチームは未解明の謎に答えを出そうと、屋外と研究室内での実験も計画している。研究室内の実験では、サンショウウオを巨大な恒温器に入れ、過去、現在、未来の気候条件を再現するつもりだ。

「加えて、個体数減少と小型化の関係も解明し、2つが関連しているのか別個の問題なのか確かめる必要がある」とリップス氏は話している。

PHOTOGRAPH BY VISUALS UNLIMITED, CORBIS

文=Puneet Kollipara

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