古代都市ペトラ、重要だった冬至の太陽

2014.03.18
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古代都市ペトラの修道院エド・ディルを太陽が照らし出している。2007年の冬至に撮影。

PHOTOGRAPH BY KATHERINE KIVIAT, REDUX
 岩を削ってつくられた古代都市ペトラは、太陽が天からのスポットライトのように神聖な場所を照らすよう計算されていたという。 ペトラは岩の崖に刻まれた墓や記念碑などの宗教的な建造物から成る巨大都市で、ナバテア王国の首都だっ た。ナバテア王国は紀元前3世紀から西暦1世紀にかけて現在のヨルダンの大部分を治めていたが、その実態はほ とんど知られていない。

 香辛料の貿易で富を築いたナバテアの人々は、ほかの神々とともに太陽を崇拝していた。太陽の動きによって 決まる春分、秋分、夏至、冬至などの天文現象を重視していた可能性もある。

 例えば、夏至と冬至は、地球の南北の軸が公転軌道面に対して23.5度傾いていることによって生じる。地球は 1年をかけて太陽を周回するが、この傾きが原因で、太陽光の当たり方は日々変化する。

「Nexus Network Journal」誌で発表された統計分析によれば、ナバテアの人々はペトラの建造物をつくる際、 こうした空の現象に影響を受けていた可能性が高いという。ペトラはギリシャ語で“岩石”を意味する。

 研究を率いたカナリア諸島天体物理学研究所(IAC)の天文考古学者フアン・アントニオ・ベルモンテ(Juan Antonio Belmonte)氏は電話取材に応え、「ペトラは外観が美しいだけではない。さらに特別なものを見せてく れる」と述べている。

◆空によって神聖化

 ベルモンテ氏らは大きな記念碑や寺院、神聖な墓の空間的な位置を測定し、それらと地平線にある太陽の位置 関係を調べた。

 その結果、冬至などの特別な日には、太陽が最も重要な建物を照らし出したり、一直線に並んだりしているこ とがわかった。

 ベルモンテ氏は特に興味深い発見として、冬至にかかわるものを挙げている。ナバテアの人々は、主神ドゥシ ャラの誕生を冬至に結び付けて考えていた可能性があるためだ。

 ペトラでは冬至の日、エド・ディルと呼ばれる修道院の神聖な祭壇に沈みゆく太陽が光と影を織り成す。この 建物は宗教行事に使用されていたようだ。

「キリスト教会の特別な祭壇でも同じ(太陽が照らし出す)光景が見られる」とベルモンテ氏は説明する。

 アメリカ、ロサンゼルスにあるグリフィス天文台(Griffith Observatory)の所長E・C・クラップ(E. C. Krupp)氏は、エド・ディルで見られる光景を“魅力的”だと述べている。冬至の前後1週間しか現れないという 事実が「冬至の夕暮れとの象徴的な関係に説得力を与えている」。

 クラップ氏は電子メールで、「古代の天文台ではなく建造物の一部が空によって命を与えられ、神聖化されて いる証拠だ」とコメントしている。

 今回の研究を率いたベルモンテ氏は、ほとんど解明されていない古代都市に新たな光を当てることができたと 確信している。ペトラの85%はまだ発掘作業すら行われていない。同氏はペトラを“世界で最も特別な場所”の 一つと呼んでいる。

「これら(の建造物)は人間の能力によって生み出されたまさに驚異だ。美的感覚に優れ、しかも、空と結び付 いている」。

PHOTOGRAPH BY KATHERINE KIVIAT, REDUX

文=Christine Dell'Amore

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