検証:「3秒ルール」の真偽は?

2014.03.17
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この美味しそうなハムサンドイッチは、細菌に汚染されている?

PHOTOGRAPH BY BECKY HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC
 床に落ちた食べ物は3秒以内に拾えば安全だという「3秒ルール」は正しいのだろうか。新しい研究の結果は、明快とは言えない。 これは本当だろうか? 英国バーミンガムのアストン大学の研究者らは、3秒ルールは正しいと言っている。

 しかし、2007年に南カリフォルニアのクレムソン大学が行った同様の研究からは、落ちた食べ物はその時点で 危険だという結果が得られた。データが示していたのは「0秒ルール」だった。

 奇妙なことに、両大学の調査方法はほとんど同じで、結果も最終的に同じだった。しかし両チームがそこから 下した結論はまったく逆である。結局、3秒ルールは正しいのか、正しくないのか?(アメリカではこのルール を、five-second rule=5秒ルールと呼んでいる。3秒か5秒かが重要ではないので、ここでは日本でお馴染みの3 秒ルールと呼ぶことにする。)

◆細菌の科学

 食べ物を床に落とすと、床に存在するあらゆる細菌が食べ物に付着する。そのため、落ちたものを食べると、 付着した細菌も一緒に食べることになる。両研究は、細菌が食べ物に移行するまでにかかる時間を調べた。

 タイル、ラミネートまたはフローリング、カーペットの3種類の異なる床について、アストン大学は大腸菌と 黄色ブドウ球菌を、クレムソン大学はネズミチフス菌を使って実験をおこなった。クレムソン研究では細菌のハ ムとパンへの移行のみを、アストン研究では水分量の異なる様々な食べ物への移行が調査された。

 両研究の結果はいくつかの点で一致している。細菌に汚染された表面に食べ物が接触すると、細菌は直ちに食 べ物へと移行する。タイル、フローリング、そしてラミネートの表面から移行する細菌の量は、カーペットから よりもずっと多い。アストン大の研究の結果、調理済みのパスタやベタベタする飴など水分の多い食べ物は、一 般に考えられているとおり、クッキーやトーストのような乾いた食べ物よりも細菌が付着しやすいとわかった。

 しかし、汚染の程度に関して、両研究の結論は異なっている。

 アストン大学の研究を率いたアンソニー・ヒルトン(Anthony Hilton)教授は、食べ物は短時間ではそれほど 汚染されないと述べる。「我々の研究では、乾いた食べ物へ移行するのは床に存在する細菌集団のわずか100万 分の1で、湿った食べ物へはそのおよそ20倍が移行していた。今回調査したタイプの床では、湿った食べ物でも すぐに拾い上げれば、移行する細菌の量は少なく済むという明確な証拠がある」。

 これに対し、クレムソン大学のポール・ドーソン(Paul Dawson)教授は、「表面の違いや接触時間に関わら ず、人を病気にするのに充分な量の細菌が移行していることがわかった」と異議を唱えている。

 ドーソン氏は説明する。「落としたものを食べるのは、シートベルトを締めずに車を運転するようなもの。シ ートベルトを締めずに運転しても、生涯事故に遭わない人がいるように、落としたものを食べ続けても病気にな らない人はいるだろう。しかし、病気になる可能性はあるのだから、私は食べない」。

 ヒルトン氏の見解は当然、逆だ。「うちには男の子が3人いて、しょっちゅう床に落としたトーストを拾って 食べているが、我が家は清潔だから、まず病気にはならない。道路に落としたというなら、話はまったく別だ が」。

 結局、どっちが正しいのだろうか。

PHOTOGRAPH BY BECKY HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Sarah Whitman-Salkin

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