スカンクはなぜ悪臭を放つのか

2014.03.17
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オハイオ州のノース・リッジビルで年に1回開催されるスカンク祭り(Skunkfest)でスカンクを抱くショー ン・ゲーリー(Shawn Geary)氏。

Photograph by Vincent J. Musi
 スカンクは、相手を気絶させるどころか殺すこともできる強力な分泌液を噴出する。このほど、北アメリカを中心に生息する彼らがかくも有害な物質を持つに至った理由をつきとめたとする研究が発表された。「International Journal of Organic Evolution」誌オンライン版に2月23日付けで発表された論文の共著者で あるテッド・スタンコウィッチ(Ted Stankowich)氏によれば、夜行性のスカンクを暗闇の中で狙う捕食者は嗅 覚に大きく依存しなければならない。そこで、スカンクは臭い有害なスプレーで敵を撃退するようになったのだ という。

「哺乳類はにおいを頼りにすることが多いため、極めて不快な物質を噴出すれば捕食者にショックを与えること ができる」と、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の動物行動学者スタンコウィッチ氏は説明する。

 スタンコウィッチ氏らは、スカンクを含む181種の食肉目(ネコ目)動物に関する大規模な比較研究を行い、 分泌液の放出に代表される「有害な兵器」の進化に捕食などの要素がどう影響したのか探った。

 ある種の化学兵器とも言えるこの防御方法は、自然界ではめずらしくない。スカンクの場合、肛門嚢に溜めら れた油分の多い分泌液は、噴出によって最大3メートル先まで届く。

 ニューメキシコ大学の生物学者ジェリー・ドラグー(Jerry Dragoo)氏によれば、肛門腺はどの肉食動物にも あるがすべてが臭いわけではない。例えば、ビーバーが縄張りのマーキングに使う分泌液のにおいはバニラに似 ている。

 ところがスカンクの分泌液には、あのすさまじい悪臭の元となる硫黄含有化合物のチオールが含まれる。チオ ールは麻酔薬や抗けいれん薬に使われることもあり、捕食者になり得る動物の体に重大なダメージを与えること ができる。

◆タフな哺乳類

 スカンクのムスク(麝香)は、身体的な衝突を回避し、腹を空かせた捕食者から逃れる時間を稼ぐ極めて有効 な手段だとドラグー氏は指摘する。

 しかし、スカンクが噴射に頼るのは最終手段の場合がほとんどであると、彼らの名誉のために言っておかなけ ればならない。彼らはまず、黒と白の模様を見せびらかしたり地面を叩いたり逆立ちをするなど、警告を出すの だ。

 スカンクには戦闘的な面もあり、歯や爪を使うこともためらわない。

 そのおかげで、スカンクが捕食者に仕留められることはめったにないとスタンコウィッチ氏は言う。

◆スカンクはバラの香り?

「Chemical Educator」誌に1999年に発表された研究によれば、スカンクが放つ分泌物は高濃度の場合、人命に 関わることもある。一時的な失明や咳、吐き気を引き起こすことから、催涙ガスに例えられることもある。

 ただし、ドラグー氏に限っては話が別だ。同氏は森に住むこの動物の研究を始めた当初、スカンクに噴射され ても何ら影響を受けないことに驚いたという。彼は、スカンクのムスクを嗅ぎ取ることのできない数少ない人の 一人だったのだ。

「初めてスカンクの噴射を浴びたとき、何が起きたのかわからなかった」とドラグー氏。「スカンクと見つめ合 う私の体には黄色い染みがたくさんついていたが、周囲の人々がなぜ騒ぎ立てるのか理解できなかった」。

 三日後に職場に戻ったとき、自分がひどい悪臭を放っていることに気がついていなかったドラグー氏は「建物 に入れてもらえなかった」という。

「スカンクのスプレーはバラの香りのようだよ!」

Photograph by Vincent J. Musi

文=Mollie Bloudoff-Indelicato

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