獲物のペンギンをくれたヒョウアザラシ

2014.03.14
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ポール・ニックレン氏とヒョウアザラシ。

Image captured from video by National Geographic
 写真家のポール・ニックレン(Paul Nicklen)氏は、2006年のナショナル ジオグラフィック誌の記事の取材で南極の海に潜り、ヒョウアザラシを撮影しているとき、「生涯忘れられない」経験をしたという。最近になって、FacebookなどのSNSサイトへの投稿により、そのときの経験がインターネットで再び紹介され、注目を集めているようだ。「ヒョウアザラシはとにかくすばらしい。これほど撮影のしがいのある動物はほかにいない」とニックレン氏は言う。「水に潜って野生動物と対峙するときは、基本的に相手に自分を委ねることになる。なぜなら、水中では人間は全く無力で弱い存在だからだ。アザラシのなすがまま、捕食者のなすがままに任せるしかない」。

「ヒョウアザラシは、一部で言われていたように攻撃をしかけてくるようなことはなかった。それどころか、捕まえたペンギンを私に食べさせようとしたり、私の後をついてまわったりして、大抵はノンストップでショーを見せてくれた」。

 公開された動画で、ニックレン氏は、ある1匹のメスのヒョウアザラシとの出会いがいかに感動的だったかを語っている。そのアザラシはグリズリー(ハイイログマ)よりも頭1つ分大きく、カメラとニックレン氏の頭はすっぽりとアザラシの口の中に納まってしまいそうだ。

 しかしアザラシは危害を加えることなく、あたかも子育てをするかのように彼を“世話”し始めたのだ。アザラシは捕まえたペンギンを彼のもとに運び始めた。最初は生きたままのペンギンだったが、やがて死んだものを持ってくるようになった。おそらくニックレン氏が、“自分で餌を捕れない駄目な捕食者”に見えたのだろう。

 ニックレン氏が潜って取材をしていた4日間、最上位の捕食者であるこのヒョウアザラシが自分よりも弱い彼に餌を与えようとしていたことは間違いない。

Image captured from video by National Geographic

文=Brian Clark Howard

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