未解決事件の解決、決め手は新証言

2014.03.06
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事件解決の63%は元友人や元恋人の証言が鍵になっていることが、最新の研究で明らかになった。

Photograph by Photonica, Getty
「迷宮入り」殺人事件の鍵は、犯罪ドラマでもよく見られるDNA解析などの犯罪科学捜査の技法よりも新証人の出現にかかっていることが、研究で示されている。 未解決事件は一般的に、捜査開始から一年以上経っても解決されない事件のことを指す。未解決殺人事件の件数は増加の一途をたどっている。マサチューセッツ州イーストロングメドウにある未解決犯罪解明センター(Center for the Resolution of Unresolved Crime, CRUC)によれば、アメリカ全国で20万件近くの殺人事件が未解決のままになっているという。

 大量に蓄積された未解決犯罪は、ここ数十年、有罪判決を受ける犯人が減少していることを表している。2014年現在、殺人事件の解決率は63%。1965年当時は91%だった。この変化は、麻薬組織による暴力行為の増加が原因だ。こういった犯罪では、殺人が起こっても多くの目撃者が恐怖心から、もしくは組織に対する忠誠心から名乗り出ることを躊躇するため、起訴まで持ち込むことが特に難しい。それで毎年約6000件もの殺人が、未解決の まま残されていくのだ。

 この事態を受け警察は、未解決事件捜査チームの規模を拡大し、犯罪科学捜査の技法、特にDNA解析を取り入れることで捜査に弾みをつけてきた。

 しかし「Journal of Forensic Sciences」誌2014年3月号に掲載された報告では、初めて未解決殺人事件について体系的に調査され、警察による昔ながらの捜査と新証人や新証言が事件解決の鍵を握っているようだと結論付けられている。

「新証言から得られた”証拠”のような、よほどの理由がなければ、未解決事件の再捜査が行われることはほとんどない」と語るのは、ワシントンD.C.の警察幹部研究フォーラム(Police Executive Research Forum)の研究リーダー、ロバート・デービス(Robert Davis)氏だ。「未解決事件の調査はほとんどの場合、新しい情報なしに人々を満足させる練習に終始している」。

 未解決事件捜査チームは時系列に沿って事件ファイルに取り組むのではなく、過去の事件の中から有罪判決に導ける可能性の高い事件に優先順位をつけているのかもしれないと、デービス氏は示唆している。

◆未解決事件の確かなデータ

 この研究では、コロンビア特別区首都警察に保管されている(元)未解決事件189事件の調査資料から、事件解決に結びついた要因が検討された。調査された殺人事件は古くは1970年代に遡るが、多くはこの20年間に発生したものだ。

 再調査された未解決事件のうち、24%は被告の有罪判決が確定。24%は「例外的な」解決、つまり被疑者が死亡、収監中、または失踪のケース。残りは未解決のままだ。

 未解決事件を犯人の有罪判決まで導く要因は何だろうか。調査で明らかになったのは、解決に至った事件の63%が新しい証人や証言の力によるものだということだ。殺人犯の元交際相手や元友人が、事件後何年も経ってから名乗り出るというケースは珍しくない。DNA型の照合結果を考慮したケースは、解決した事件の中でたった3%。再調査の理由で一番ひどいのは、遺族の圧力があったから、というケースだ。

 よりありがちなケースとしてデービス研究リーダーが挙げたのは組織犯罪の場合で、逮捕された犯罪組織メンバーが対立する組織の情報を証言する気になれば、同時に解決することが可能だ。その他、事件解決のために決定的な要因の一つは、事件発生から72時間以内の初動捜査で、有力な被疑者を特定することだ。研究では、それより時間が経つと解決されるケースは急激に減少することが示唆されている。

◆CSI効果

 今回の報告では、多くの殺人事件において、昔ながらの捜査の方が最新の犯罪科学捜査の技法よりも重要であるという実際の証拠も示されていると、デービス氏は語る。

「殺人犯の多く、実に78%は銃撃によって被害者の命を奪っている。銃殺では(殺人犯の)DNAはほとんど残らない」とデービス氏。さらに、DNA解析結果が出るのが遅れれば、刑事は殺人事件の解決にDNAが与える影響を軽視する傾向があるという。

 検察官や警察官の中には、CSI効果による殺人事件裁判への影響を心配している人たちもいて、問題視されているとデービス氏は語る。CSI効果とは、人気テレビドラマシリーズ『CSI:科学捜査班』から名付けられたもので、陪審員が、事件を解決する複雑な科学捜査の技法を期待して法廷を訪れるおそれがあるのだという。実際にはそうではなくて、証人尋問を中心に、ごちゃごちゃとした現実的な調査結果が詳細に提示される場合が多い。

「もし現実の殺人事件捜査をショーにしようとするなら、保証してもよいが、テレビドラマよりずっとつまらなくて説得力のないものになるだろう」とデービス氏は語る。

Photograph by Photonica, Getty

文=Dan Vergano

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