地中からメスを誘う紫のカエル

2014.03.04
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インドハナガエル(学名:Nasikabatrachus sahyadrensis)。

Photograph by SD Biju, University of Delhi
 インドハナガエル(学名:Nasikabatrachus sahyadrensis)という奇妙な両生類を紹介しよう。2003年に正式に発見されたばかりのこの紫色をしたカエルは、インドの西ガーツ山脈に生息し、絶滅危惧種に指定されている。 ぼってりした紫色の体に、豚のように突き出た鼻。こんなカエル、ほかにはいない。異様な風貌は、地下の巣 穴での生活に適応したものだ。インドハナガエルは1年のほとんどを地中で過ごす。短くがっしりした脚を鋤の ように使って、地下3.7メートルにも達する穴を掘るのだ。

 雨季にわずかな間だけ地上に出て交尾をする。その際、オスは鳴き声を発し、メスに求愛する。カエルの仲間 ではよく見られる行動だ。

 しかし、今回、インドハナガエルが独自の求愛行動をすることが分かった。インドハナガエルの求愛行動につ いて詳しく分析する初めての調査が行われた結果、このカエルが、柔らかな土で覆われた狭い巣穴の出口付近の 薄い土の層の下でメスを呼ぶことが明らかになったのだ。

◆抜け目のないカエル

 インドのデリー大学とミネソタ州ミネアポリスにあるミネソタ大学の研究者達は、オスの求愛行動が最も活発 になる豪雨の後に鳴き声を録音した。

 インドハナガエルのオスは、筋肉を収縮させ、鳴嚢(めいのう)を膨らませたり収縮させたりすることで、短 い鳴き声をひっきりなしに繰り返す。これが今回明らかになった唯一の鳴き声だ。このような動きにより、覆い かぶさった薄い土の層が振動することから、研究者達はカエルの居場所を正確に特定できたという。

 しかし、それからが大変だった。オスの求愛の歌を録音し終えると、研究者達は大急ぎで土を掘り、カエルを 捕獲した。

 インドハナガエルはなかなか抜け目がなく、急いで掘らなければ、たちまち地下深くもぐってしまうからだ。 捕獲したカエルは1匹ずつ記録を取った後、もといた柔らかな土の中に戻してやった。

 紫がシンボルカラーのプリンスとは違うが、インドハナガエルもまた独自の美しい音楽を奏でる。

 今回の研究結果は「PLOS ONE」誌オンライン版に2月7日付けで掲載された。

Photograph by SD Biju, University of Delhi

文=Mary Bates

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