ハチドリは歌を変えてメスを呼ぶ?

2014.02.25
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木の枝でメスを呼ぶ歌をさえずるハチドリ。

Image captured from video by Marcelo Araya Salas/National Geographic
 ハチドリのオスは熱心な求愛者だ。1年のうち長ければ8ヶ月もの間、毎日同じ場所へ行き、歌を歌ってメスを呼ぶ。1秒間に2回ずつ歌を繰り返し、それを8時間も続けるのだ。 ハチドリの歌が際立っているのは、その長さだけではない。ハチドリは、鳴き鳥やオウムとともに、さえずり を学習する鳥の仲間だ。個体や生息場所によってさえずりが異なり、科学者らはそうした違いを「歌の親戚」ま たは「方言」と呼んで区別している。

 長い間、ハチドリのオスは若いときにさえずりを覚え、それを生涯、維持するものと考えられてきた。

 しかし最近、ニューメキシコ州立大学の生物学者マルセロ・アラヤ・サラス(Marcelo Araya Salas)氏とテ ィモシー・ライト(Timothy Wright)氏の観察によって、コスタリカに住むユミハシハチドリの仲間(学名 Phaethornis longirostris)のオスに、さえずりを変えるものがいることがわかった。この発見は、ハチドリが 成熟個体になっても新しい歌を学習できるということを示唆している。

「ほとんどの場合、新しい歌は近くのオスと同じものだが、ときにはまったく新しいさえずりを覚えることもあ る」とライト氏は述べる。今回の研究にはナショナルジ オグラフィック協会も助成金を提供している。同氏に よると、ハチドリの生涯を通じた学習能力が示されたのはこれが初めてだという。

◆愛の労働

 ライト氏が現在、突き止めようとしているのは、さえずりを変えることでオスがメスを見つけやすくなるかど うかだ。研究チームのアラヤ・サラス氏は、ハチドリがさえずりを変えるのを記録し、それによりオスが縄張り を維持し、メスを引き寄せることに成功しているかどうかを調べている。

 歌い続け、一年の半分以上も他のオスと競争するのは、いかにも大変だ。

「ハチドリのオスが歌や求愛ダンスや縄張を守るためにかける労力には、いつも驚ろかされます」とライト氏は 言う。

 ハチドリの求愛行動には、尾を素早く動かすなど、見た目にアピールする要素もある。そうしたサインは、複 数のオスが同じ場所で特定のメスの関心を引こうと競い合う求愛場「レック(lek)」において、他のオスへの 警告の役割も果たす。

 オスは、メスの関心を引くことに成功すると、熱狂的な交尾の儀式を開始する。交尾の前にメスの前で前後に ホバリングする「空中ダンス」などの曲技である。

「オスは様々な動きを見せる。同じオスでもそのときによって、かなり動きの順序が異なるダンスをする。求愛 ダンスの動きの順序がどうなっているのか、また、その順序によって攻撃または求愛の意図を伝えるなどの違い があるのかを明らかにしたい」とライト氏は語った。

Image captured from video by Marcelo Araya Salas/National Geographic

文=Stefan Sirucek

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