火星の“ブルーベリー”は隕石だった?

2014.02.25
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火星で無数に発見されたグレーブルーの球体の岩石。この正体を説明するため、さまざまな理論が提示されて いる。

Pjotograph by NASA/JPL-Caltech/Cornell/
 NASAの火星探査車オポチュニティが発見した有名な岩石“ブルーベリー”は、火星に水が存在した歴史を物語る地質学的な証拠ではない。ある研究グループがこのような主張を展開している。 研究グループによれば、小さな球体の正体は、火星の大気に突入したときに砕けた小さな隕石の残骸だとい う。

 2004年、オポチュニティが無数の岩石を発見した。岩石はブルーグレーの球体だった。赤鉄鉱を多く含むこの 小さな球体(ブルーベリーの愛称は発見したチームが付けたもの)について、火山の噴火から隕石の衝突による 衝撃波まで、さまざまな説が示された。

 ブルーベリーを発見したチームは、多孔質の岩石の間を地下水が流れることによってこのような球体が形成さ れたという説を提示した。地球で赤鉄鉱を含む似たような球体が形成される仕組みと同じだ。水の流れが化学反 応を引き起こし、赤鉄鉱が凝固して層状の球体になる。

 この“凝固”モデルが発表されたことで、遠い昔の火星で水が流れていたことが確実になったと思われた。

 ところが、ハワイ大学ホノルル校の惑星科学者から成るグループは「Planetary and Space Science」誌で、 隕石が衝突したと考えた方がブルーベリーのさまざまな物理的性質の説明がつくと主張している。

 研究のリーダーで、地球物理学を専門とするアヌパム・ミスラ(Anupam Misra)氏は、「凝固モデルでは球体 の物理的特性を一つも説明できない」と述べている。

◆凝固か、隕石か

 ミスラ氏によれば、凝固モデルの最大の問題はブルーベリーの小ささを説明できないことだという。

 火星で発見された赤鉄鉱を含む岩石は大部分が直径4ミリほど、最大で6.2ミリだ。一方、地球にある似たよう な球体はもっと大きく、決して6.2ミリが上限ではない。

 ミスラ氏によれば、岩石が宇宙からやって来たと考えれば大きさの違いが説明できるという。小さな隕石は火 星の大気に衝突すると、ばらばらに砕けて地表に降り注ぐ。火星では数え切れないほどのブルーベリーが発見さ れているが、こうした現象が何度か起きれば十分だ。研究グループの計算では、直径4センチの隕石が衝突すれ ば、4ミリの球体が広範囲に1000個ばらまかれる。

 研究グループはさらに、ブルーベリーは考えられているほど古い時代のものではないと主張している。凝固モ デルでは、侵食作用によって少しずつ赤鉄鉱の岩石があらわになるため、ブルーベリーは何千年も前にできたこ とになる。しかし、一部のブルーベリーは輝いて見える。つまり、比較的新しい時代にできたもので、物理的な 風化作用をあまり経ていない可能性があるということだ。

◆反論

 この新たな説に異議を唱える科学者もいる。ユタ大学の地質学者で、地球の凝固物を研究しているブレンダ・ ボーエン(Brenda Bowen)氏は、「彼らの主張には完全な誤りがいくつかある」と指摘する。

 まず、地球と火星の環境は全く異なる。もし火星のブルーベリーが凝固物であれば、その大きさは水の量や堆 積岩の穴の大きさ、反応物によって制限されると、ボーエン氏は説明する。

 さらに、岩石が輝いて見えるからといって、新しい時代にできたものとは限らないとも述べている。「地球で も赤鉄鉱の凝固によってできた堆積物を目にするが、ちりや砂に覆われていることもあれば、きれいに磨かれて いることもある。風が吹くと、摩耗によって表面に艶が出る」。

Pjotograph by NASA/JPL-Caltech/Cornell/

文=Joseph Bennington Castro

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