木の枝に陣取るアメリカアリゲーター。ミシシッピ州パール川のデルタ地帯で撮影。

Photograph by Kristine Gingras with permission
 クロコダイルと言えば、水中に身を潜めたり川岸で日光浴をしたりする姿を想像するかもしれない。しかし、大きな歯を持つこの爬虫類の生活の場は、木の上の方にまで及ぶことがわかった。 オープンアクセスのオンライン科学誌「Herpetology Notes 」に1月25日付けで掲載された最新の研究に、ク ロコダイルとその近縁種であるアリゲーターでは驚くほど日常的に見られる木登り行動が報告されている。クロ コダイルには枝をつかむための解剖学的適応は見られない。それにもかかわらず、彼らはしばしば木の上方に向 かって進み、最頂部や大きな枝の上に到達することもある。

 テネシー大学ノックスビル校の助教であり論文の筆頭著者でもあるウラジミール・ディネッツ(Vladimir Dinets)氏によれば、頭上にいるクロコダイルを探そうと思いついたことはなかったという。しかし、ウラジミ ール氏と彼の同僚は、クロコダイルの自然な行動を研究する過程で木に登った個体を何匹も目にし、興味を持っ た。彼らは北アメリカ、アフリカ、オーストラリアの3つの大陸で、木に登る4種のワニ類を確認したという。

 ディネッツ氏は研究仲間と協力して科学文献を細かく調べたが、木に登るクロコダイルに言及する研究報告は 3つしか見つからなかった。しかし、クロコダイルの生息地付近の住人による事例報告も複数得られたという。

「クロコダイルに関わる仕事をしている人や、彼らのそばに住む人々はこの行動について知っていた」とディネ ッツ氏は話す。「非常に一般的であるにもかかわらず、クロコダイル研究が行われる地域の内部にいる人々以外 はそのことに気がついていなかった」。

 しかし、と同氏は言う。「この行動が新しいものであると考える理由はない。それどころか、すでに絶滅した ワニ類が現存種よりも木登りに適していたことを示す証拠も存在する」。

 ディネッツ氏らは、木登り行動が体温調節と周囲の監視という2つの要因によるものと考えている。クロコダ イルが木に登る姿は、地上に日光を浴びる場所が少ないエリアで最も頻繁に見られ、これが体温を調節するため の行動であることをうかがわせる。また、研究者が近づくと素早く水の中に落ちたり飛び込んだりする様子も見 られた。この神経質な反応は、彼らが潜在的な脅威や獲物をより見つけやすい場所に身を置くために木登りをし ていることを示している。

 ルイジアナ州でアリゲーター狩りのガイドを務めるクリストファー・ゴメス(Christopher Gomez)氏は、ア リゲーターが木の上にいるのを見たことはないが、この行動に驚きはしないと言う。「彼らは陸の上では非常に 素早く、機動力がある」と同氏。「大きな獲物を捕らえて水中に引きずり込むことができる彼らの力を考えれ ば、木に登ることも可能だろう」。

 ワニ類の歴史は恐竜が生きていた古代にまでさかのぼることのでき、人間にとっても身近な生物だが、いまだ に驚かされることが多い。ディネッツ氏らは、小枝をわなとして使い、巣材を探す鳥をおびき寄せるアリゲータ ーとクロコダイルの行動を2013年に報告している。彼らは鼻の上に小枝を乗せた状態で鳥のコロニー下の水中に 身を横たえ、近づいた鳥を飲み込もうと待ち構えていたのだ。

Photograph by Kristine Gingras with permission

文=Mary Bates