火山の青い炎、ジャワ島のイジェン山

2014.02.04
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インドネシア、ジャワ島の火山、イジェン山。火口で空気に触れ発火した硫黄が幻想的な青い炎を上げなが ら、溶岩流のようになだれ落ちていく。

Photograph by Olivier Grunewald
 パリを拠点に活動する写真家のオリビエ・グリューネバルト(Olivier Grunewald)氏は、数年前からインドネシアのジャワ島にある活火山、イジェン山(Kawah Ijen)の様子を写真に収めている。夜のイジェン山では、目もくらむほどの鮮やかな青い炎が山肌を流れ下る光景をしばしば目にすることができる。 ナショナル ジオグラフィックでは、イジェン火山についてグリューネバルト氏に電子メールで話を聞くこと にした。グリューネバルト氏は、「このような真っ青な輝きは火山ではめったに見られないものだ。もちろん溶 岩流ではないが、残念ながら、多くのWebサイトでは誤って溶岩流と紹介されている」と述べている。

 グリューネバルト氏によれば、青く輝いて見えるのは、実際には硫黄ガスが燃焼する際に発生する光だとい う。

 これらのガスは火山の亀裂から高圧で噴出し、温度は最高で摂氏600度にもなる。硫黄ガスは空気に触れると 発火し、最大で5メートルの炎を巻き上げる。

「一部の硫黄ガスは液状に凝縮し、燃焼を続けながら山肌を流れ下っていく。それが、あたかも溶岩流のように 見えるというわけだ」とグリューネバルト氏は説明する。

 アメリカ地質調査所(USGS)の地質学研究者でアラスカ火山観測所に所属するシンシア・ワーナー(Cynthia Werner)氏はナショナル ジオグラフィックのインタビューに答え、グリューネバルト氏の写真に写っているの は非常に珍しい現象だと述べている。

「これほど多くの硫黄が火山から流れ出す光景はこれまで見たことがない」とワーナー氏は言う。

 ただし、以前アメリカのイエローストーン国立公園で山火事が発生したときには、炎の熱によって熱水噴出孔 周辺の硫黄が溶け、やはり“川”のようになって流れ出したという。

「イエローストーンに行くと、その跡が黒い筋になって残っているのを見ることができる」とワーナー氏は話 す。

 ワーナー氏によれば、噴気孔(熱水噴出孔)周辺で硫黄の溶解が発生するのはさほどめずらしい現象ではない という。硫黄の融点は摂氏115度と比較的低く、熱水噴出孔の温度は多くの場合、それを上回っている。

 青い炎については、古くはイタリアのベスビオ山南陵やブルカノ島での噴火時に確認されたという記録が残っ ているとグリューネバルト氏は話す。

 またグリューネバルト氏は、「火山の噴火で噴煙が発生し、もうもうと煙が上がっているときにも、青い炎が 見える可能性がある」とも言っている。

 イジェン山頂にあるカワ・イジェン火口湖は、塩酸酸性の水からなる湖としては世界最大の面積を持つ。塩酸 濃度が高いせいで、水がグリーン色をしている。

 ワーナー氏によれば、火山から放出される塩化水素ガスが水と反応して、pHがほぼ0という高濃度の塩酸が作 られ、このような酸性度の高い湖になっているということだ。

 燃焼している火山ガスが冷えると、湖の周辺に硫黄が堆積する。

 硫黄の形成を速めるために、採掘会社は湖畔近くの火道にセラミックのパイプを設置した。そう話すのは、 USGSの地質学者でイジェン山の調査を行っているジョン・パリスター(John Pallister)氏だ。

 硫黄ガスはパイプを通って火道の傾斜面を下っていく。ガスは冷えると液状に凝縮し、それがパイプから流れ 出る際に凝固して、大きな硫黄の塊になる。

 硫黄が冷えるのを待って、鉱山労働者たちは塊を小さく砕き、背中にかついで山を下りる。

「冷却と凝固を助けるために、鉱山労働者たちが小型ポンプでパイプに水を噴射するのを見たこともある」とパ リスター氏は電子メールで述べている。「パイプから垂れる液体の硫黄が堆積して鍾乳石が作られることがあ る。労働者たちはそれを集めて旅行者に売っている」。

 さらにパリスター氏はこう付け加える。「硫黄や硫黄ガスに故意に火を着けて、夜の写真でひときわ映える青 い炎を作り出すという話を聞いたこともある」。

Photograph by Olivier Grunewald

文=Brian Clark Howard

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