中国最大の検索エンジン、百度(バイドゥ)が作成したマップ。中国の40日にわたる春節期間中に行われた移動の様子を示している。

Photograph by Lang lang, Baidu/Imaginechina/Corbis
 中国では毎年冬、旧正月(今年は1月31日)を祝う春節のために何億もの人が帰省する。 中国語で“春運”と呼ばれるこの大移動は、2014年には過去最大レベルに達する見通しだ。中国の国家発展改革委員会(NDRC)の連維良副主任によると、今年は春節前後の40日間に移動する旅客の延べ人数が2013年より約5.8%(2億人)増え、推定36億2000万人に達するという。

 要するに、毎年行われる人間の移動としては、世界最大規模ということだ。

 中国最大の検索エンジン百度(バイドゥ)は、この大移動を視覚化し、春節期間中に行われた移動のルートとその利用頻度を8時間周期で示すマップを公開した。このマップは、百度が自社の携帯端末向けソフトウェア製品の位置情報を使って、40日間の旅客の動きを追跡して作成したもの。携帯端末向け製品を通じて、GPSの位置情報リクエストを1日35億件(2013年8月現在)受けている百度は、中国最大の位置データ保有者だ。

◆帰省しないのは親不孝

 多くが故郷から遠く離れて過酷な労働に従事する出稼ぎ労働者たちにとって、春節は帰省して家族に再会する年に1度の機会だ。

「列車代がばかにならないし、移動も長くて疲れる」と、北京から中国中部の河南省へ帰省する25歳のグラフィックデザイナー、チャン・シュアン(Zhang Xuan)さんは話す。「それでも帰省しない選択肢はない。両親に殺される」。

 中国の交通運輸部の梁暁安報道官によると、今年の春節には、延べ約32億人の旅客が長距離バスや最近増えている自家用車などの道路輸送を利用する見込みだという。そのほか2億5800万人が鉄道を、4200万人が航空便を利用するとみられる。

 百度のマップ(中国語のみ)では、中国で最も多く利用されている移動ルートを見ることができ、発着数で各都市をランキングする機能もある。予想どおり、中国で最も人口の多い2大都市、北京と上海が、旧正月前日の1月30日時点でランキングのトップを維持している。

 百度のマップでは、移動ルートのほとんどが中国東部、とりわけ南東部に集中している。急速な経済発展によって、中国全土から出稼ぎ労働者が集まっている地域だ。これに対し、チベット自治区や内モンゴル自治区、広大な新疆ウイグル自治区を含む中国西部にはほとんど移動が見られない。

◆帰省で空気汚染が改善?

 首都北京では、春節の期間に推定人口2000万人のうち約3分の1が市外へ脱出する。いつもは車が数珠つなぎになっている北京二環路は広々とし、普段は通勤客で混み合う地下鉄もがらんとして静かになる。

 この交通量の減少によって、空気の質が改善するとさえ言われるほどだ。1月30日の朝、スモッグでかすんでいることの多い北京の空は明るく、青く澄んでいた。

Photograph by Lang lang, Baidu/Imaginechina/Corbis

文=Adam Century