UFOのように飛ぶトビヘビ

2014.01.30
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滑空するパラダイストビヘビ。1997年、シンガポールで撮影。

Photograph courtesy Jake Socha
 映画『スネーク・フライト』(2006年10月日本公開)は飛行機に毒蛇が持ち込まれるというストーリーだが、飛行機に乗らなくても飛べるヘビもいるようだ。東南アジアの熱帯雨林には5種類のトビヘビが生息しており、空中を最大で30メートル飛ぶことができるという。 このヘビはどうやって飛ぶのか。今回、その謎が解明された。体をS字形にくねらせ飛ぶトビヘビの姿は、横から見るとUFOにそっくりだ。

 トビヘビは腹のうろこの突起を使って樹皮の上を這って木に登り、体を左右に波打たせながら滑空する。ここまではすでに分かっていた。

 バージニア州ブラックスバーグにあるバージニア工科大学の生体力学研究者、ジェイク・ソーシャ(Jake Socha)氏らの研究論文によると、肋骨(ろっこつ)を動かしこのような動きをすることで、トビヘビは体の表面で空気をとらえて飛ぶことができるということだ。

 1.2メートルものヘビが空を飛ぶと聞くと恐怖を覚える人もいるかもしれないが、トビヘビにはほとんど毒がなく、襲われるのは餌となる小動物に限られる。

 トビヘビが飛ぶ頻度や目的は明らかになっていないが、敵から逃げるためや木から木へと移動するときに地上に降りる手間を省くため、また獲物を捕らえるために飛ぶのではないかと考えられている。

◆3D印刷を利用して謎を解明

 トビヘビが空気をとらえて飛ぶ仕組みを解明するために、ソーシャ氏らは、断面層を何枚も積み重ねて三次元の物体を作り出す3Dプリンターを利用することにした。

 研究チームは、トビヘビのなかでも最高の滑空術を持つパラダイストビヘビ(学名:Chrysopelea paradisi)が飛ぶ姿を再現したUFOのような形状の断面図を使って、細長い3Dモデルをプリントした。続いて、そのモデルを水の流れるタンクに入れて、トビヘビが森の中を滑空するときと同じ空気の状態を作り出した。

 研究チームは3Dモデルをさまざまな角度で傾け、速度を変えて水を流し、水流によってモデルが上下する様子を計測した。

 その結果、ほとんどの角度で、波形をした3Dモデルは、トビヘビの滑空能力を説明するのに十分な揚力を確保していたことが分かった。

 研究チームによれば、実際のトビヘビは3Dモデルが示す結果よりもさらにうまく滑空しているように見えるということだ。

 もしかしたら、うまく飛ぶための技のようなものがあるのかもしれない。それについては現在調査中とのこと。どうやら、トビヘビは今のところまだUFO(Unexplained Flying Ophidians)、つまり“謎の飛行するヘビ”ということのようだ。

 今回の研究結果は、「Journal of Experimental Biology」誌オンライン版に1月29日付けで掲載された。

Photograph courtesy Jake Socha

文=Charles Q. Choi

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