欧州には青い瞳の狩猟採集民がいた

2014.01.27
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青い瞳の狩猟採集民族の男性(想像図)。

Photograph by Mohamed Hesham, Anadolu Agency/Getty
 7000年前のスペインに住んでいた人骨化石の遺伝子を調査した結果、初期ヨーロッパ人の外見が明らかになった。青い瞳と浅黒い肌を持っていたという。 古代人のDNA解析の研究の一環として、少年の遺伝子地図が作成された。研究を率いたのはスペイン、バルセロナにある進化生物学研究所(Institut de Biologia Evolutiva)のイニゴ・オラルデ(Inigo Olalde)氏。論文は、スペインの洞窟で発掘した骨格を基にしている。

◆なぜ重要なのか

 青い瞳の特徴は、5000年余り前の新石器時代、農耕民族のヨーロッパ大陸拡大時に広がったと考えられ、白い肌の北欧人のような姿が思い描かれていた。ところが、オラルデ氏の研究結果は、当時の狩猟採集民の肌は浅黒かった事実を示唆している。

 さらに、現代ヨーロッパ人と共通した病気への抵抗性にかかわる遺伝子がいくつも発見され、先史時代のヨーロッパの狩猟採集民族の文化が断続的だったことを示す結果も出ている。

◆研究の詳細

 オラルデ氏らは、1万〜5000年前の中石器時代の骨格化石「ラ・ブラナ1(La Brana 1)」に付着していた歯からDNAを抽出。男性の骨格で、スペイン、レオン近郊の洞窟で2006年に発掘されている。

 比較対象として、アルプスで見つかった5300年前のエッツィ(農耕民族)、通称“アイスマン”など、新石器時代のヨーロッパ人のDNAを用意した。さらに、スウェーデンやフィンランド、シベリアにある狩猟採集民族の墓から入手した、部分的な遺伝子サンプルや、現代ヨーロッパ人35名のDNAも加えている。

◆研究成果

 約7000年前、石器文化はヨーロッパに拡大した。ずんぐりした女性像“ビーナス”で知られており、当時の人々とスペインからシベリアにかけて分布する黒い髪の狩猟採集民族との間に、遺伝学的なつながりが判明した。現代の北欧人の多くは、この狩猟採集民族の子孫にあたるという。

 また、ラ・ブラナ1は、病気の免疫、細菌の抵抗性、筋骨格系の病気のリスクに関連した遺伝子をいくつも持っている。各遺伝子の起源をたどり機能を解明すれば、医学研究の助けになると予想されている。

“旧石器時代の食事法”など、自然回帰の概念に興味がある人にも朗報だ。病気への抵抗性など、現代人に受け継がれた遺伝子の多さから、進化の流れが今日まで破綻無く続いている事実を裏付けている。

 今回の研究結果は、「Nature」誌オンライン版に1月26日付けでに発表された。

RENDERING BY CSIC

文=Dan Vergano

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