巣を“発射”して狩りをするクモ

2014.01.21
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巣を獲物に向けて発射する準備を整えているクモ(枠内は接写画像)。

Image captured from video by Jeff Hertrick, National Geographic Crittercam
 まるでスパイダーマンのような動きで、スリングショットのように巣を操り、獲物をわなにかけるクモが発見された。しかも、新種の可能性がある。 獲物が近づくと、クモは巣を解き放ち、巣はスリングショットのように飛んでいく。クモは巣にくっついたままだ。狙い通りにいけば、粘着性の巣にディナーが捕らえられていて、あとはゆっくり歩み寄るだけだ。

 ペルーのロス・アミーゴス生物学研究所(Los Amigos Biological Station)で別の研究をしている最中にこのクモを発見したラリー・リーブス(Lary Reeves)氏は、「このクモはハエや小さなカゲロウなど、水から飛び出してきた昆虫を狙っているようだ」と推測している。

◆ペルーのジャングルで発見

 リーブス氏はペルーのジャングルでメガネカイマン(学名Caiman crocodilus)を探していたとき、偶然このクモを発見した。

 リーブス氏はメガネカイマンを探しながら、刺されると痛い毒針を持つサシハリアリ(学名Paraponera clavata)にも目を光らせていた。この警戒がついに報われた。リーブス氏はある日、体長1センチにも満たない異常に小さいクモが円すい形の巣の中心に座っていることに気付いた。そして、同僚のジェフ・ガリス(Geoff Gallice)氏とリンジー・ウィーラン(Lindsay Whelan)氏を呼び、一緒に見てもらった。

 そのとき、クモが動いた。近くにいた蚊を目がけて、巣をスリングショットのように放ったのだ。

 クモの奇妙な行動についてはリーブス氏もよく知っていた。それでも、目の前で起きたことはかなり珍しい行動だった。

 リーブス氏は新種のクモだと考え、2013年12月、昆虫学者のフィル・トーレス(Phil Torres)氏を連れてロス・アミーゴス生物学研究所に戻り、近くのタンボパタ研究センター(Tambopata Research Center)を訪れた。前回見た行動を記録するため、写真家のジェフ・クレマー(Jeff Cremer)氏も伴った。

 リーブス氏らはタンボパタの近くで、同じようなスリングショットの動きをするクモを発見した。ただし、体長1センチほどと少し大きかった。クレマー氏がこのクモの行動をカメラに収めた。

◆謎の新種?

 リーブス氏もトーレス氏もある文献を発見するまで、新種のクモに違いないと確信していた。80年前に記録された不明瞭なクモの仲間に関する文献だった。

 中南米のジャングル原産のカラカラグモ科(Theridiosomatidae)はもともと、その小さな体などが専門家に知られていた。

 ロス・アミーゴスとタンボパタ周辺で撮影した写真を比較した結果、少なくとも1匹は新種でないことがわかった。

 リーブス氏がロス・アミーゴスの近くで最初に発見した方は、Naatlo splendidaという種に外見がそっくりだ。ただし、特定するには試料を採取する必要がある。

◆スピード+粘着性=成功

 なぜこのクモは自らをスリングショットのように放つのだろう。リーブス氏らはこの範囲のみで餌を探しているのではないかと考えている。

 トーレス氏は、「ほかのクモの巣より確率が高いのかもしれない。ほかのクモの巣は糸の粘着性、獲物が飛んできて巣にぶつかるかどうかにかかっている」と分析する。

「巣そのものを放つ方法は、獲物がかかる確率がはるかに高そうだ」。

「ねばねばのわなに衝突するか、ねばねばのわなを投げ付けられるか。この違いを想像してみてほしい」。

 もしこのクモが新種だったとしたら、何と名付けるべきだろう?

Photographs by Larry Cremer; (inset) Jeff Cremer, Perunature.com

文=Carrie Arnold

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