6000万年前のヘビの化石が史上最大のサイズであったことが明らかになった。このヘビはイラストのような姿で熱帯地方をはい回っていたらしい。2009年2月に発表された研究で分かった。

 史上最大のヘビはアナコンダに似た姿で「路線バスより大きく、自動車よりも重い」と専門家は述べている。巨大な化石の発見で、過去と将来の気候変動の研究にも光が当たることになった。ヘビがこれほど巨大化したのだから、当時の熱帯地方はいまよりも高温だったはずだという説が支持されている。

Picture by Jason Bourque
 史上最大のヘビは巨大なアナコンダのような姿だった。6000万年前の蒸し暑い熱帯雨林をずるずるとはい回っていたらしい。 コロンビア北東部のセルホン炭田で見つかったヘビの化石を調べたところ、少なくとも体長13メートル、体重1135キロはあったことが分かった。このヘビは「ティタノボア・セレホネンシス(Titanoboa cerrejonensis)」と命名された。

「路線バスよりも大きく、自動車よりも重いヘビだ」と研究を率いたジェイソン・ヘッド氏は語る。同氏はカナダのトロント大学ミシサガ校でヘビの化石を専門に研究している。

 これまで最大として知られていたヘビの体長は11~11.6メートルだった。約4000万年前の北アフリカに生息していたギガントフィス・ガースティニ(Gigantophis garstini)というヘビである。

 アメリカ、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立自然史博物館のハンス・ディーター・スーズ氏は、ヘビの化石を見て次のように話している。「このような巨大ヘビにつかまれば人間にも勝ち目はないだろう。巨大ヘビは獲物をじわじわと絞めつけて窒息死に追い込む。横断面からみても相当なサイズなので、廃車が処分されるようにつぶされてしまうだろう」。

 今回発表されたような巨大ヘビの存在は、当時の熱帯が現在よりも暑かったことを示すものだ。これは過去と将来の気候変動を研究する上でのヒントにもなる。

 ヘビのサイズ、エネルギーの生成・消費効率と、気候との間には関連があると専門家らは考えている。

 ヘッド氏らの研究チームは、ティタノボアがここまで巨大化したことから推測すると、当時の気温は1年を通して32度程度だったのではないかとしている。つまり、現在の熱帯地方よりもかなり高温の環境だったことになる。「これは、地球温暖化で熱帯以外の地域が暑くなると、熱帯の気温が急上昇するという説を裏付けるものだ」と研究チームはまとめている。

 だが、これについては対立する説もある。一時的な温暖化で赤道から南北に離れた地域の気温が上がっても、現代のように熱帯地方の平均気温はそれほど変わらないとする説も唱えられているのだ。

 カリフォルニア大学サンタクルーズ校の古気候専門家ジェームズ・ザコス氏は、今回の研究チームに同意する立場だという。同氏は、ティタノボアの存在が「温室効果の高い時代に熱帯がかなり高温化する」ことを立証していると語っている。

 研究の共同執筆者であるフロリダ大学の古脊椎動物学者ジョナサン・ブロック氏は次のように話す。「コロンビアの炭田では巨大なカメやワニの化石も発見されている。巨大生物が主役となるような生態系が存在したのではないだろうか。そこにはやはり年間の平均気温が高いという要因があったと考えられる」。

 この研究の詳細は「Nature」誌の今週号に掲載されている。

 地球の気温は今世紀末までに、この史上最大のヘビが誕生した当時と同じレベルまで上昇すると想定するシミュレーション・モデルもある。「このまま温室効果ガスの放出が続けば、ティタノボアに匹敵するような巨大ヘビが再び誕生する時代もすぐにやってくるかもしれない。ただし、温暖化が急激に進み過ぎれば、適応できずに熱帯のヘビ自体が絶滅する恐れもある」とブロック氏は述べている。

Picture by Jason Bourque

文=John Roach