西南極のエルスワース山脈の近くに、巨大な氷河底地溝が見つかった。

Photograph by Robert Boesch, Corbis
 西南極の調査を行っていたチームが、氷の下にグランドキャニオンより深い峡谷を発見した。 調査チームは、衛星からのデータと、スノーモービルや小型機に搭載した氷透過レーダーのデータを組み合わせて、エルスワース氷河底高地(Ellsworth Subglacial Highlands)という、南極の氷下数キロに埋まっている太古の山並みの地図化を行っていた。

 その過程で発見されたのが、深さ最大3キロ、幅25キロ以上に及ぶ巨大な氷河底地溝(峡谷)だった。これに比べ、グランドキャニオンは最深部でも1.8キロだ。氷下の峡谷の深さは、場所によっては海面下2000メートルを超える。

「地球の表面というジグソーパズルの新たなピースを見つけられることは非常な栄誉だ」と、研究チームの一員でイギリス、ニューカッスル大学の地球物理学者ニール・ロス(Neil Ross)氏は述べる。

 数千万年前ということ以外、峡谷が形成された正確な時期は不明だ。「我々にわかっているのは、南極が少なくとも3400万年前から氷で覆われているということ、またその間に、西南極の氷の大きさは、小さな氷原レベルから(中略)現在のような巨大な氷床に至るまで、さまざまに変動していると考えられることだ」とロス氏は述べる。

 この峡谷は元々、断層などの地質的に脆弱な部分に河川が流れて形成されたものだと研究チームは考えている。ただし、峡谷をこれほど深くしたのは氷河だという。「河川では、峡谷を海面下の深さまで削ることはできない。(このように深くするには)氷河による侵食が必要だ」とロス氏は述べる。

 この峡谷については、エルスワース湖など一部の地形が以前から知られていたが、地溝の全体的な規模はこれまでわかっていなかった。ロス氏のチームは、「点と点をつなぎ合わせる」ことで、他の研究者がこれまで見落としていたものを発見できる独自のポジションにいたという。

「地溝の全範囲を示す衛星データに確信が持てたのは、ひとえに、氷透過レーダーによる両端部のデータから、地溝のサイズを証明できたおかげだ」とロス氏は述べる。

「また、地溝の両端を調査する2つのプロジェクトに、私が博士研究員として参加した経験があったことも非常にラッキーだった」。

 今回の研究成果は、「Geological Society of America Bulletin」誌の最新号に発表された。

Photograph by Robert Boesch, Corbis

文=Ker Than