クロサイの狩猟権競売に脅迫状

2014.01.14
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ナミビアのクロサイ1頭分の狩猟許可証が競売にかけられることで、激論が巻き起こっている。

PHOTOGRAPH BY KARL STROMAYER, U.S. FISH AND WILDLIFE SERVICE VIA AP
 アメリカの狩猟団体、ダラス・サファリ・クラブ(DSC)が、ナミビアに生息する絶滅危惧種のクロサイ1頭分の狩猟許可証を競売にかけると発表して以来、動物保護活動家たちは先週末に予定されていた競売に怒りをあらわにし、クラブには脅迫状も届いていたという。 競売は、ダラス・コンベンション・センターで開催されたDSCの2014年年次総会で行われ、1月11日に35万ドルでの落札が発表された。

 DSCによると、競売の売上金はすべてナミビアのクロサイ保全信託基金へ寄付されるという。DSCは前回の取材で、狩猟によって絶滅危惧種のサイを管理する関係当局を援助し、保全活動に必要な資金を集めることができると主張していた。

 けれども、それを快く思わない人もいる。競売をめぐる動物保護活動家たちからの脅迫状を受けてDSCは1月9日、アメリカ連邦捜査局(FBI)に通報したことを明らかにした。DSCのベン・カーター(Ben Carter)会長はメディアに対し、オークション中止を求めて、会長の家族を脅迫するメールが少なくとも12通は届いたと話している。

 カーター氏がNBCニュースに明らかにしたところによると、メールの内容は「殺されるサイ1頭につき、クラブ会員1人を殺す」などといったもの。

 年次総会には4万5000人の参加者が見込まれ、警備も強化された。FBI報道官は、捜査当局も状況を監視しているとしている。

◆狩猟に賛否両論

 今週はじめ、国際動物福祉基金(IFAW)北アメリカ担当責任者のジェフ・フロッケン(Jeff Flocken)氏がナショナル ジオグラフィックのWebサイトに寄稿し、「種の保護という名目の下に、絶滅の危機に瀕している動物1頭を撃ち殺す権利を取り合うなどとは、屈折した危険な考え方だ」と書いている。

「クロサイのような希少動物の首に、狩猟権という形で最も高い値がついてしまうと、サイの生息する国や地元住人たちにどうやって種の回復活動の必要性など訴えられるのか。一番高く落札した者に狩猟権を与えれば、一夜にして大金が手に入るというのに」。

 さらにフロッケン氏によると、クロサイは世界でわずか5055頭、そのうちナミビアには推定1800頭が生息している。総数では、過去100年間で96%も減少したことになる。その主な原因として、生息地の消失や密猟、そして近年ではアジア市場でクロサイの角への需要が高まってきたことなどが挙げられる。

 ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によると、ナミビアはクロサイの狩猟許可証を1年につき5枚発行できることになっている。これまで、許可証のほとんどは地元で売却されており、アメリカで競売にかけられるのは今回が初めて。

◆読者の反応

 当Webサイトの10月30日付記事「クロサイの狩猟許可証、競売で波紋」には、読者から大きな反響があり、76件のコメントが寄せられた(米サイト)。

「たとえ、狩猟対象となるのが繁殖能力のない1頭であり、個体群動態には影響がないとしても、娯楽目的で命一つを消しても良いのだと言っているようなもので、人類の道徳的価値観に照らし合わせれば許しがたいレベルだ」、リチャード・マッコート(Richard McCort)氏。

「ケニアのサファリ・ガイドとして、保全活動という名の下に動物を殺すような客をサファリに案内する気分にはなれない」、アルフレッド・コリーア(Alfred Korir)氏。

 一方、ハーマン・マイヤリドリックス(Hermann Meyeridricks)氏は競売反対者たちに反論して、「アフリカに住んでもいない、現地の状況を分かっていない人間のエリート意識と保護主義的な考え方の現われだ。管理された合法的な狩猟は、アフリカの野生生物に何の脅威も与えない。それを支える科学的根拠も何もない」としている。

 エル・メカニコ(El Mecanico)氏も競売に反対する動物保護団体に対し、「残念なことに、動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals: PETA)やアメリカ動物愛護協会(Humane Society of the U.S.: HSUS)のような人々は、自然界がいかに機能するのかまるで分かっていない。彼らが分かっているのは、バンビの母親の死をいかに自分たちに都合よく搾取するかということだけだ」と批判した。

PHOTOGRAPH BY KARL STROMAYER, U.S. FISH AND WILDLIFE SERVICE VIA AP

文=Brian Clark Howard

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