ヒトデの目は見えていた!

2014.01.09
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
最新の研究によれば、ヒトデはねぐらから離れて迷子にならないように目を使っているという。写真はアオヒトデ。

PHOTOGRAPH BY ARCO IMAGES GMBH, ALAMY
 ヒトデの腕の先には1つずつ目が付いている。しかし、どのように使っているかはわかっていなかった。ヒトデは歴史的に単純な動物と考えられてきた。目も単純な構造で、しかも脳を持たないため、どのように見ているか、そもそも見えているのかを解明するのが難しかった。 デンマーク、コペンハーゲン大学の神経生物学者アンダース・ガーム(Anders Garm)氏によれば、ヒトデに目があることは200年ほど前から知られていたが、構造を調べる程度で、あまり詳しい研究は行われていなかったという。

 研究チームは、インド洋や太平洋に生息するアオヒトデ(学名Linckia laevigata)を調査対象に選んだ。

 これまでの研究で、ヒトデの目は光に敏感であることが示されていた。光と影がまだら模様を描く海中で、暗い場所と明るい場所を見分けることはおそらくできるのだろう。

◆ねぐらに戻るため

 このように目が見えることは確認されているが、視力が良いわけではないようだ。

 研究チームの一員であるガーム氏は、「ヒトデの目で形成されるのはとても粗い像だ」と説明する。「せいぜい200画素といったところだ」。

 それでも、アオヒトデが大きな動かない構造物を認識するには十分だと、ガーム氏は述べる。

 アオヒトデはサンゴ礁と密接な関係にある。サンゴ礁を取り囲む平らな砂地に迷い出てしまえば、餌を見つけることができず、餓死するだろう。

 そのため、おそらく行動範囲で唯一の大きな動かない物体であるサンゴ礁を認識できることは、ヒトデにとっては極めて重要だ。

◆さまようヒトデ

 ヒトデの目は昆虫やロブスターなどの節足動物と同じ複眼だ。ただし、共通点はそこだけだと、ガーム氏は話す。例えば、アオヒトデの目にはレンズがない。

 ガーム氏らは目そのものの測定と行動実験を組み合わせ、結論を導き出した。

 まず、測定の結果、ヒトデの視野がわかった。目の前のサンゴ礁を十分に認識できる視野だった。

 次に、解像能を調べた。「レンズがあれば、解像度は高くなる。言い換えれば、より多くの光を集めることができる」とガーム氏は説明する。アオヒトデの目にはレンズがないため、かなり大まかな像しか形成できない。

 行動実験には沖縄の近海を使った。アオヒトデをサンゴ礁から連れ出し、戻って来るかどうかを調べるという方法だ。

 サンゴ礁から1メートルほど動かした場合、ほぼ一直線にねぐらへと戻った。しかし、2メートルまたは4メートル移動させた個体はでたらめにさまようだけだった。

 夜にサンゴ礁から1メートル離した場合もでたらめに動き回っていた。サンゴ礁が見えなかった可能性が高いと、ガーム氏は考えている。

 今回の研究結果は、「Proceedings of the Royal Society B」誌オンライン版に1月7日付で発表された。

PHOTOGRAPH BY ARCO IMAGES GMBH, ALAMY

文=Jane J. Lee

  • このエントリーをはてなブックマークに追加