グリーンランド氷床下に巨大な湖を発見

2014.01.06
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水を含んだ氷床コアの断片。グリーンランドで発見された地下帯水層から採取された。

PHOTOGRAPH BY LUDOVIC BRUCKER, NASA's Goddard Space Flight Center/Ludovic Brucker
 グリーンランド南東部の氷床コアを調査した科学者らの報告によると、そこには広大な帯水層からなる“湖”が閉じ込められているという。融解の進む世界中の巨大氷床と気候変動との関係を解明する手がかりになるかもしれない。 南極大陸に次ぎ世界で2番目に大きいグリーンランドの氷床は気候温暖化によって融解が進んでおり、今後の海面上昇を予測するにあたって重要な要素となる。そのため、極寒のグリーンランド南東部で発見された約7万平方キロの地下帯水層には科学者から強い関心が寄せられている。

「巨大なかき氷やスラッシー(半分解けた雪のような飲み物)、あるいは水で満たした砂場のようなもの。氷晶のすき間に水が貯まっている状態だ」と、研究の共著者でメリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターの低温地域科学研究所(Cryospheric Sciences Laboratory)に所属するローラ・ケーニッヒ(Lora Koenig)氏は説明する。

 ユタ大学のリック・フォースター(Rick Forster)氏が率いる研究チームは2011年4月、夏期の融解が始まる前にグリーンランド南東部の氷床からコアサンプルを採取し、フィルンと呼ばれる圧縮された雪の層を調べた。

 フォースター氏によると、表面温度は氷結温度を大きく下回る摂氏マイナス18度であったため、液体が見つかるとは予想していなかったという。

 しかし実際には、深さ数メートルから引き上げた氷は液状水分で濡れており、その温度は氷結温度にあたる摂氏0度であった。「我々は驚くとともにショックを受けた」とフォースター氏は言う。「通常、この辺りの氷は6月にならないと解けないことから、この水が冬の間も凍っていなかったことは明らかだった」。

◆「驚くべき発見」

「氷の表面から解け出した水は下へと浸透して再び凍るものと考えられてきたため、この発見には驚いた」とケーニッヒ氏は述べる。

 2013年4月、ケーニッヒ氏を含む小規模な研究チームは再びグリーンランドでコアサンプルを採取。今回は液状水分により良く対処できるドリルが使われた。加えて、NASAのアイスブリッジ作戦(Operation IceBridge)に用いられるレーダーが示す低空飛行データから帯水層の大きさを算出したところ、ウェストバージニア州(約6万3000平方キロ)がすっぽり納まる規模であることが判明した。

◆地球温暖化と海面上昇の謎が解けるか?

 ケーニッヒ氏によると、氷床下の帯水層が年々どのように変化しているのかはまだわかっていない。

「北極の温暖化によってグリーンランドの氷床が縮小していることは確かだ」と同氏は述べる。実際、2012年にはグリーンランド氷床の表面融解と流出が過去最大量を記録している。また、1993年から2005年には年間1210億トン、2005年から2010年にかけては年間2290億トンもの氷がグリーンランドから失われた。

 融氷水が液状のまましばらく氷の中に閉じ込められるという事実は、水が海に到達するまでの時間を知る手がかりになるかもしれないとケーニッヒ氏は話す。それが判明すれば、沿岸部に住む何百万もの人々にとって極めて重要な海面上昇の程度や速度を特定することができる。

 グリーンランド氷床下の帯水層の水量は1540億トンと推測され、一度に海に流出すれば海面が0.04センチ上昇する。場所によっては厚さ1600メートルを超えるグリーンランド氷床が一度に解ければ海面が20フィート(6メートル)も上昇することから、この数字はそう大きくはない。

 水が氷の中に閉じ込められることで、現時点では「海までの到達時間が遅れるかもしれないが、いずれは海に流れ出ることになる」とケーニッヒ氏は指摘する。「継続的な流出というよりは、ある時点で一気に流れ出るのではないか」。

 2014年4月には科学者らが再びグリーンランドへ赴き、氷のサンプルをさらに採取するという。

 今回の研究結果は「Nature Geoscience」誌に2013年12月22日付で発表された。

PHOTOGRAPH BY LUDOVIC BRUCKER, NASA's Goddard Space Flight Center/Ludovic Brucker

文=Brian Clark Howard

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