アマゾン熱帯雨林を守る先住民の活動

2013.12.25
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不法侵入者の山狩りで巡回する、ショットガンや斧(おの)で武装したカヤポ族の男性たち。

Photograph by Martin Schoeller, National Geographic
 ブラジルのアマゾン川流域では、熱帯雨林の破壊が深刻度を増している。衛星写真からは、木材の搬出道路が縦横に張り巡らされ、牧草地化された土地が大規模に広がっている様子が一目瞭然だ。緑に覆われているはずの一帯が、見渡すかぎり茶色に染まっている。 アマゾン熱帯雨林を衛星から遠隔観測する試みは、1980年代の初めから続けられてきた。2004年までは画像から失われる緑が年を追うごとに増え、森林破壊の抑止はもはや不可能とすら思われた。ブラジルでは一時、森林減少率が年間2万7000平方キロという危機的なレベルに達している。

 しかし、一部には破壊を免れている地域もある。アマゾン川の支流の1つ、シングー川の南部流域には現在も、小さな島国程度の熱帯雨林が保護区域として残されており、衛星写真でもまとまった緑の領域が確認できる。土壌むき出しの領域は周囲に留まり、緑と茶の境ははっきりとしている。 そしてその境界線の内側には、先住民の部族たちが暮らす土地がある。

◆保護活動の課題

 シングー川南部流域の熱帯雨林には、保護下にある先住部族の居住区が10カ所存在し、総面積は1400万ヘクタールに達するという。北部のカヤポ族約7000人を筆頭に、南部では14の部族合わせて約5500人が日々の生活を営んでいる。

 ここに、アマゾン熱帯雨林の保護活動に取り組む人々にとっての課題が浮上した。それは、「広大な熱帯雨林からチェーンソーやブルドーザーを完全に締め出すには、少数の先住民たちにどのような選択肢があるのか」という問いだ。

 法的な保護という策も1つの答えではある。牧場経営者や伐採業者、金鉱採掘業者の侵出が迫る中、カヤポ族の人々は1980〜1990年代にかけて、熱帯雨林が彼らの土地であると必死に訴え、公に認めさせることに成功した。

 だが、アマゾン川流域の南東部は、開拓時代のアメリカ西部と同じように統治が行き渡っていない。土地をめぐる暴力抗争、不法な森林伐採や金鉱採掘、詐欺的な土地取引など、不正行為が後を絶たない現実に、法律だけで立ち向かうには限界がある。

◆期待されるNGOとの連携

 積極的に抗議行動を行い、政府に圧力をかけ、自身の権利を自らの手で勝ち取った先住部族もいる。だがその一方で、援助環境保護団体や先住権擁護団体と連携すると同時に、その支援を受けてNGOを立ち上げ、さらなる外部の支援を獲得する人々も現れた。

 例えば、遠方の金鉱採掘者を発見するため、外部NGOの資金援助を受けて居住区上空の飛行を実現したケースもある。また、巡回監視活動にブラジル政府の協力が得られなかったカヤポ族は、外部の協力者からボート、モーター、燃料、GPS、ラジオなど機材の提供を受けている。

 2013年7月、武装したカヤポ族の男性たちは、ボートと徒歩で200キロ以上の距離を巡回、不法採掘者のキャンプを発見した。採掘用の施設をすべて破壊した後、不法採掘者たちを移送するヘリコプターの出動を政府に対して迫ったという。

 さらに、カヤポ族の経済的自立を促す計画を支援するNGOも組織されている。ブラジルナッツを栽培して販売、カヤポ族の各世帯に必要な収入を確保するという取り組みもその一例だ。森林伐採者や金鉱採掘者の立ち入りを黙認する見返りに現金を受け取るという誘惑から、カヤポ族の人々を守るという狙いもある。

◆森林破壊は続く

 アマゾン熱帯雨林では、地球上で最も多彩な生命活動が営まれている。全陸上生物の3分の1近くが生息し、地球上の淡水約4分の1が循環するなど変化に富んだ生態系が息づく。また、二酸化炭素の大気中のバランスや気候の調節にも重要な役割を果たしている。

 当然ながら、現状の監視活動を今後も気を緩めず続ける必要がある。ブラジルの熱帯雨林は破壊が続いている上、先住民の土地の法的な保護を実質的に無効化するため、農業や鉱業、林業の強力なロビー団体が1988年制定の現行憲法の改正を主張しているという。

 なによりも、流域の先住部族に対する支援を充実させ、彼らとより緊密な連携を模索する取り組みが急務となっている。

Photograph by Martin Schoeller, National Geographic

文=Barbara Zimmerman

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